エピローグ
いかがでしたか。
『蜜蜂男爵の館』をご堪能いただきましたでしょうか。
すべての小説をお読みのお客様だけが当館から外出を許可されます。
ただし、お客様はまだ完全に解放されたわけではございません。
これまで当館を訪問したことがない方を、お客様の身代わりとして一名以上お連れになり、一週間以内に当館までお戻りください。そうしましたらお客様は今度こそ本当に自由の身でございます。
万一、一週間経ってもお客様がお戻りにならなかった場合、またはどなたも当館へお連れにならなかった場合、当館の規則といたしまして、お客様には規定の”処分”を執行させていただきます。
”処分”の内容につきましては、今はお答えできません。
ここ地階ビュッフェではお飲物や軽食をご用意してございます。ご自由にお召し上がりください。
さようでございます。地階ビュッフェに続く廊下や階段に陳列してあります生首の飾り物ですが、すべて蝋人形でございます。
当館オーナー、蜜蜂男爵様はご承知のように大変な怪奇趣味をお持ちでございます。そこでこのような装飾になったわけでございまして、これは”処分”とは一切関係ございません。
それではお気をつけて行ってらっしゃいませ。
ご健闘を心からお祈りしたします。
支配人 草間秀勝




