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Excited Crowd  作者: 頭 垂
第四章:強がりと意地と
38/46

38!

「これは辛いね……」

一瞬打ち合っただけでリュウは頭ではなく本能で理解した。

端的に、リュウとマダム・スカーレットは戦う上ではとてつもなく相性が悪い。リュウに不利と言う意味で。

リュウの基本的な戦闘スタイルは圧倒的ポテンシャルにものを言わせた必殺の一撃を相手に先んじて打ち込んでいく短期決戦型。神速で相手の懐に潜り込み、相手に破格の一刀を浴びせる。

それに対してのマダム・スカーレットのスタイルは相手の攻撃を受け続けることで相手のスタミナの枯渇を待つ持久戦型。今、わかりやすすぎる隙のあったリュウに攻撃を仕掛けてこないだけでそれが理解できた。

短期決戦型と持久戦型。どちらのほうが有利かなど考えるのも馬鹿らしくなってくると言うもの。

リュウは初撃を止められた時点で相当苦戦を強いられるタイプなのにこれは辛すぎる。

「でも、やるっきゃないよね」

リュウはまた神速で近づき、目にもとまらぬ連撃を放つ。

今度はマダム・スカーレットが攻撃をはじきもらすことを狙った攻撃。

それ故に斬撃に普段のリュウのような重みはない。そのせいかさっきよりも斬撃に力が乗らず、あっさりと対処されてしまう。

「あらぁ? こんなものなのかしらぁ?」

マダム・スカーレットはまだまだ余裕があるらしく微笑みながらリュウに話しかけてくる。話している間にも斬撃をたたきこんでいるが、そのすべてをマダム・スカーレットは危なげなくいなしている。

「まだまだだよ……!」

リュウは自分の体のギアを限界まで引き上げ、さらにスピードを上げる。

体が悲鳴を上げるがそんなこと知ったことか。

悲鳴を上げたとしても。それこそ、もう二度と使えなくなったとしてもリュウはひとかけらも後悔はしないという自信があった。

仲間の復讐のために死ぬのならそれはそれで悪くない。

「ちっ……!」

大きく後ろに跳び退り、マダム・スカーレットから大きく距離を取る。

早くも息が上がり始めている。今のリュウは限界を超えて体を駆動させている。スタミナの消費も尋常ではない。

強い。

それがマダム・スカーレットに抱いたリュウの感想だ。

さすが『四大孤高』と言ったところか。同じ『四大孤高』などと呼ばれるリュウのことを歯牙にもかけない。

さっき九とした話の中ではリュウは『雷神』と呼ばれていたらしく、それに準じるソロも持っていたらしい。

そのソロがないから勝てないのかなどとくだらないことを考えてしまう程度にはリュウの勝ち目は薄かった。

「……なんであなたはソロを使わないのぉ?」

マダム・スカーレットが首をかしげながら問うてくる。

まだマダム・スカーレットはリュウが記憶喪失になってソロを失っていると言うことを知らないらしい。

「まぁ、いいわぁ。今のあなたは脅威ではないようねぇ」

そういうマダム・スカーレットは意地の悪い微笑みを顔に浮かべながらこちらを見ている。

……いや、違う。マダム・スカーレットが見ているのはリュウの……後ろ?

そう思った時にはリュウは後ろから頭をつかまれ地面に組み敷かれていた。


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