表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Excited Crowd  作者: 頭 垂
第三章:開戦の号砲
25/46

25!

と駆け出したのはいいが、リュウは蟒蛇がどこにいるのか知らなかった。

そのことに気付いたリュウはホームを出た直後に頭を抱える。

「……どうしょ」

「はぁ、しょうがないですねぇ」

涙目のリュウが宰に助けを求めると、宰は苦笑しながら教えてくれた。改めて一人で来なくてよかったと思った。

宰の話(宰は九から聞いていたらしい)では、蟒蛇は第七階層にいるらしい。

第七階層は密林で開催されるゲーム。密林に潜む耳長の原住民、通称エルフと陣取り合戦をするというゲーム内容らしい。そんなゲームのフィールドなので道具を作るための資材や、食料を集めるのに適しているらしい。

ここからは宰が九から聞き、九が小鳥から聞いた話だ。

小鳥は今回は実地調査とさいして地図を作成するために探索していたらしい。その道中で《鮮血の夜》のメンバーとリーダーであるマダム・スカーレットを見つけたらしい。

マダム・スカーレットは《ナインヘッド》内でも最重要警戒対象。それにマダム・スカーレット自身の実力もあるので、見つけたらすぐ逃げろと言われていた。

その場を後にしようとした小鳥が踵を返した瞬間、背中を舐められたかのような悪寒が背中を伝った。振り返ると獰猛な笑みを浮かべたマダム・スカーレットが小鳥のことを見ていた。

小鳥は全力で駆け出す。だが、まだそこは探索も十分に住んでいない地域。土地勘のない小鳥が逃げられるはずもなくすぐに捕まった。

マダム・スカーレットと真正面から相対したとき、小鳥はこう感じたと言う。

自分がウサギで、マダム・スカーレットがライオンのように見えた、と。

その時点で小鳥の体からは力が抜け、抵抗する気力も根こそぎ奪われたのだと言う。まな板の上の鯉、小鳥は自分が調理されるのを待つだけだった。

両手も《鮮血の夜》のメンバーに抑えられていては小鳥にできることなど何もない。

諦めたように目を閉じていると、ふと小鳥を抑える力が緩んだ。

抱き起される感覚があった。目を開けるとすぐ近くに蟒蛇の顔があった。

蟒蛇は小鳥に逃げるように告げると、蟒蛇は小鳥を逃がすために殿となって《鮮血の夜》を食い止めだした。

小鳥は蟒蛇のおかげで《ナインヘッド》にそのことを伝えることができたというわけだ。

その話を聞かされたリュウは違和感を覚えた。

「それ蟒蛇らしくないよね」

蟒蛇だったら小鳥を助けなければ、一人でも無傷で逃げ帰れただろう。

そうして逃げ帰った後に《ナインヘッド》の実力者たちを連れて戻って助けに行くこともできたはずだ。寧ろ、そちらのほうが効率がいいように思える。

蟒蛇ならそうしたはずだと思った。

なのに、現実の蟒蛇は小鳥を助け、自身が捕まっている。これは蟒蛇らしくない行動のように思えた。

そうこうしているうちに第七階層に入った。

「ここが第七階層……」

「この塔は階層ごとに完全な異世界ですからね。驚くのも無理はありません」

第七階層はさっきの説明にあった通りの密林。だが、湿度も気温もさほど高くない。と言うことは密林と言うよりかは森林と言ったほうが正しいのかもしれない。

周囲に敵の気配はあまりない。零と言うわけではないが多くはない。囲まれなければ問題にはならないだろう。

「蟒蛇の位置知ってるんだっけ?」

「知ってはいますが移動しているかもしれませんし、当てにはならないと思ったほうがよさそうですね」

「なら、遠くに行かれる前に見つけよう」

リュウたちは足を速める。移動されているのならば発見に時間がかかるかもしれない。それ以前に敵のホームに戻られたら手の出しようがない。

リュウは駆けながらも耳を澄まし、鼻で周囲の匂いを測る。戦闘の残り香と戦闘音があるのなら見つけるのが楽になる。

ふと、走っていると耳に話し声がかすかに届いた気がする。

「今、何か聞こえたよね?」

「はい。あっちみたいですね」

リュウと宰は細心の注意を払って音のしたほうに歩を進める。これで感づかれて囲まれてしまったら、蟒蛇を救うことはおろか自分たちの命も危うい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ