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Excited Crowd  作者: 頭 垂
第二章:実力の証明
10/46

10!

扉をゆっくりとあけ、中に入ると複数の視線がリュウの体を射ぬいた。普通の人間だったらひるんで萎縮してしまっただろう。

だが、生憎リュウは普通ではないらしい。その視線を気にした様子もなく、空いている席に腰を下ろす。

周りにいる人間の顔を見ていると、小鳥はめんどくさそうな表情を浮かべ、宰はこちらに向かって浅く一礼、八木は軽薄そうな笑みを浮かべこちらを見ている。最後に九に視線を向けると、九はこちらの視線に気づいたのか気づかないのか立ち上がる。

「それでは全員がそろったので、会議を始めるか。まずは記憶を失ったリュウへそれぞれで自己紹介でもするか。昨日会ったやつはいらないから……ま、数字が若い順でいいだろ。三越」

 昨日のうちに自己紹介のすんだ小鳥、宰は飛ばして、宰の左隣に座っている男が立ち上がった。男は服の上からでもわかるような筋肉を持っている。頭はバッサリと坊主にしていて、脳の中にも筋肉が入っていそうだ。男の横にはこれ見よがしに重厚な大剣が置かれている。

「儂の名前は三越みつこし いつきだ。好きな言葉は猪突猛進。好きな筋肉は大胸筋。考えるより動いているほうが性に合うから実働部隊を率いている」

おおぅ。汗臭っ。

発言からにじみ出てくる体育会系の汗臭さと泥臭さ。絶対にお近づきにはなりたくないタイプだな。一緒にいるだけで汗臭さが移ってきそうだ。

三越が座るとその隣、リュウの右隣に座っていた女性が立ち上がる。ピシッと着込んだスーツが宰を彷彿とさせる。だが、こちらは表情が宰とは違い、硬く眉間には皺が寄っている。女性の立ち位置がリュウの隣のせいかリュウを見下ろすような態勢になる。その女性の視線には濃い侮蔑が混ざっている気がするのは気のせいだろうか?

「全く……記憶をなくすとは情けない。そうだからお前はダメなのだ」

侮蔑されている気がするのは気のせいではなかったらしい。女性は言葉に含めるとげを隠す気もないようだ。

女性はリュウに厳しい視線を向け、説教したかと思うと自己紹介もせずに難しい顔で席についてしまった。

九に視線を向けるが、九は肩をすくめて見せるだけだ。

えー、この人の名前はー? ていうか、初対面から大分嫌われている気がするのは気のせいでございましょうか?

その間にも自己紹介は進む。

今度はリュウの左隣の女性が立ち上がった。

その女性は顔に表情がなく、リュウに無遠慮な視線を向けてきている。昨日、宰にも同じような視線を向けられたが、宰の視線と違い、この女性の視線は粘つき、体に絡みついてくる。服装は無駄に長い丈のセーターを着ていて、手の先がセーターの袖から出ていなかった。

「……六野むつの 蟒蛇うわばみ

女性は自身の名だけ告げるとすぐに席に腰を下ろす。その視線は座っても一向にやむ気配がない。それどころか座ったことでより一層強くなった気がする。名は体を表すと言うが、彼女の視線はその名前どおりの爬虫類、それも蟒蛇に見られているようで、背筋が泡立ってくる。

次に立ち上がった男性は丸々と肥えていて、その体型は正面から見るとほぼ完ぺきな丸だった。男性は左手に飴を持っていて、それを舌を出してペロペロとなめている。

「僕はねぇー、七晴しちせい 厚久あつひさー。何か甘いもの持ってたら頂戴ねぇー」

それだけ言うとすぐに椅子に腰を下ろし、円卓の上に広げたお菓子を食べている。そのお菓子には甘そうなもの、しょっぱそうなもの、辛そうなもの。味のジャンルに問わず色々なお菓子が置かれている。

この部屋の一番上座に値する位置に座っているのがリュウで一番下座に値する位置にいるのが小鳥と九だ。これを見た感じ、この並び順に階級のようなものはなく、純粋に名字についた番号の若い順で並んでいるらしい。

並び順を記すと、リュウから左に六野、七晴、八木、九、小鳥、宰、三越、さっきリュウを嗤った女性。と言う並びになっている。九の名字が九重、小鳥が一之江、宰が二藤だからさっきリュウを嗤った女性の名字には四が入っているのだろう。

……なんというか、幹部のキャラが濃すぎる。これじゃあまとまらなくて当然だろうな。寧ろこれが一丸となって何かに取り組む姿がまったく想像つかない。JKに執事、脳筋に批判女、蛇女に百貫デブ、腹黒にヤンキーとか笑えるね。


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