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復讐は、冷やして食すのが一番美味い  作者: 結翔 〇
第2章 混乱 ― 過去と違う現在 ―

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[18] 避けられぬ試練の始まり ②

「それらの弱点は何ですか」

 私が尋ねるとサイラスはニヤリと笑った。

「主に火、水、剣だな。アンナ、魔道具は何を用意するつもりだ」

 アンナはぎこちなく笑った。

「わ、私はティルス王国に近いイアン村のしゅ、出身です」

「イアン村と言ったら農業や酪農に力を入れていると聞いてるけど」

 多くの人と交流があるレイモンドは、さすがに情報通だった。

「そ、そうです。それで、火の代わりに光で魔虫を死滅する魔道具を研究しています」

「光で魔虫を滅せるの?」

 私は驚いてアンナに尋ねた。

「は、はい。ひ、火は、作物や草木を燃やすことも多いため、村では火に代わる魔道具を作るのが急務でした」

「その代替が光なのね」

 私は感心して、うなずくアンナを見た。

「そ、それと、音で魔虫を殺傷する魔道具もあります。瘴気から生き残った蚊、つまり、ヤトゥシュには音が効きます」

「ヤトゥシュは夜だけではないのですか」

 フィリップが不思議そうに尋ねる。

「く、暗闇で動きます。昼夜は関係ないのです」

「うんざりだな」

 レイモンドが顔をしかめた。

「だが、念のため、火も用意しておけ」

 サイラスがジロリとアンナを睨み、強い口調で言う。

「で、でも……」

 アンナが言葉に詰まる。

「アンナさんが持っていきたい物を教えてもらえますか」

 フィリップがアンナに助け船を出した。

「ひ、光の魔道具であるラプシーと、お、音の魔道具であるテデン」

 アンナは一度息を整えた。

「それと、だ、弾力と、ね、粘着性のあるチクルを装備した魔道具のチクラー、みんなを守るオヘル、最後にソトです」

「アンナさん、その5つのうち、チクラーとオヘル、ソトの説明もお願いできるかしら」

 アンナの目が輝いた。

「は、はい! ち、チクラーは噴霧して魔虫の羽を溶かします。オヘルは魔虫から身を守るテントです。魔虫の力によりますが、30分くらいなら守れると思います」

「すごいな。そんな魔道具があるのか」

 レイモンドが感心する。

「そ、ソトは、ふ、笛、みたいな物です」

「ソトを吹くのですか? 吹くとどうなるのです?」

 フィリップは興味深そうにアンナに尋ねた。

「ま、魔虫の天敵が集まってきます」

 アンナは引きつった笑みを見せた。

 私を含め、レイモンドとフィリップは、声にならない感嘆を飲み込んだ。

 サイラスだけは相変わらず不機嫌そうだった。

「火や水はどうするんだ」

「え、詠唱すれば、魔仗(まじょう)で対応できると思います。は、ハーラクに水や火があれば」

 サイラスの鋭く絡みつく視線に、アンナは身を強ばらせながらも答えた。

「フン。詠唱が必要なレベルか。森だから水はあるだろう。火はマンティスに出逢えばなんとかなるかもな」

 サイラスが短く鼻を鳴らすと、アンナは肩をすぼめて視線を伏せた。

「マンティスってなんだよ」

 レイモンドが嫌そうな顔をして聞く。

「遭遇してからのお楽しみだな」

 サイラスは嘲るような笑みを浮かべ、レイモンドが露骨に呆れた表情を見せた。

「言っとくが、マンティスは俺らより大きいぞ」

「そうなの?」

 レイモンドがアンナを見る。

 アンナはうなずいた。

「ま、魔虫の多くは大きいです。瘴気に勝つくらいですから、せ、成長も普通じゃないのです」

 アンナの言葉にサイラスは私たちを見下したような目をして見つめ、レイモンドは大きなため息をついた。

 フィリップはなんだか楽し気に見え、アンナは相変わらず緊張しているようだった。

 私はというと、マリアドネのように無表情に徹し、どうやって剣を抜かずに済むかばかりを考えていた。

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