表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生きるを0からでなく1か2くらいから考えたやつ

作者: ファイラ

 Civ6にイキルって自然遺産があるから、てっきり公式に登録とかされてるのかなと思ったら、有名な観光地ってだけでした。メキシコはチチェン・イツァとかが世界遺産ということです。



 私が中学生の頃、兄が自殺しました。顔を合わせることなく挨拶も返さず不審に思った日曜の朝でした。私は学校に部活動の練習をしに行き、教師からの呼び出しにパニックになりました。「警察から電話きたよ」と。

 当時実家のパソコンでR18サイトを見ていることが遂にバレたかと、ビクビクとした心境で学校から帰りました。家を遠くから見ると警察の車両が停まっています。「ああ、これは終わった」と思いながら恐る恐る家の前のカーポートへ。すると警察の方が名前を聞いてきて、どうぞあちらへ、と案内されました。

 家の中で親父が珍しく焦りと動揺を隠さず警察の方に事情聴取されているのを見て、なんとなくですが、これは俺の話ではないと感じました。聞こえる言葉が兄についてのものだったからです。

 親父の次に警察の方に事情聴取され、朝何をしていたか、兄の様子はどうだったかと聞かれ、戸惑いながらも答えました。

 やがて警察の方は帰り、重い空気を破って聞きました。「兄がなんかしたの?」と。「首吊った」と返ってきました。首を吊るというのが重大なことだとは流石に分かっていました。当時は学年下位の成績でしたが。

 前日もその前も、首を吊るに値する重大な出来事は起こっておらず、いや睡眠薬をどこからか仕入れてフラフラになっていた時はありました。まさかその出来事が伏線だったのか?と考えながらも、まだ死んでいない、という事は親父に聞きました。


 病院にて植物状態となった兄がいました。呼び掛けに反応しました。「兄が死んだら持ってたカード全部貰うよ」と、トレーディングカードゲームのカードの話をすると反応します。こりゃまぁ死んでないし大丈夫だろ、と帰りました。

 死にました。




 火葬が一番涙が出ました。そして、それ以上に兄にもう会えないことに絶望しました。聞けばなんでも答えてくれる、頼れる存在がいなくなったのです。家で泣きます。そして、何故死んだのかを考えます。

 兄にべったり甘えていたからか、カードが欲しいと駄々を捏ねたからか、プライベートに入りすぎたか。

 もう分かりません。灰ははいもいいえも言いません。




 その後、立て続けに仲の良い爺ちゃんと叔父ちゃんを失いました。涙は出ませんでした。もうそういう歳だとか、病気だったから覚悟ができていた面もあったのでしょう。

 覚悟。兄の死は、完全に死角からの刃でした。連日泣きます。

 そして、学校に復帰します。明らかに顔色が変わったと心配されました。でもどうでも良かったのです。友達は兄ではないし、なんなら俺をいじめてたやつもいます。

 恐らく死んだ魚の目をしていたのでしょう。私の心も死んでいました。


 そんな私に一つ疑問が湧いていました。

「何故爺ちゃんや叔父ちゃんは悲しまないのに、兄の死を悲しんでいるのか」

 考えます。影響力?生活を共にした時間が長いから?ゲームを貸してくれたから?カードで遊ぶときにあいてになってもらってたから?

 答えは出ません。誰も応えてくれません。

 もう頭がいっぱいいっぱいです。

 誰か答えを、答えを。


 考えているとある日、自分の中に黒いモヤが出現しました。その黒いモヤは言います。「支柱が無いなら、己が誰かの支柱になれ」と言います。

 その瞬間涙は止まり震えは止まり、止まっていた心が動き始めました。「殺せ。己の身を預ける者を。生きる。誰かの身を預けてもらえるように」

 成績が目に見えて上がりました。数学、国語、理科、社会、英語を殺す気で覚え、考え、解きました。なりふり構わず他人も頼りました。

 高校は進学校ではなく実業高校を選びました。近くの進学校に行ける偏差値は無く、実業高校で五教科以外の世界を見たかったからです。学歴厨からしたら鼻で笑うような事ですがね。笑えます。

 まあその高校では……黒歴史が沢山あります。


 取り敢えず中学生の私はそのマインドで突き進み、高校受験に合格し万歳となりました。

 受験の後振り返ります。この生き方は正しいのか、正しくないのか。きっと正解は別にあって、正しかろうとそうでなかろうと自分に自分の身を預ける、それは最高の自分らしさだと言い聞かせました。




 そして中学卒業後、高校2年生で日商簿記2級合格した後、怠慢がはじまります。

 専門学校に進み1級を勉強するも、やる気が出ません。これは高校2年生で成功をしたと勘違いからくる怠慢です。課題も提出せず、その後の就活でも学校側に迷惑をかけました。中学生の自分は消えてしまったように思えました。しかし、これは中学生のときと同じなのです。


「兄のときと同じように、今度は自分に甘えている」


 私は自分に甘えるという言葉が嫌いです。自分とは、この世の中で最後の味方なのですから。しかし上記の台詞がピッタリハマるほど、私は自分に甘えていました。

 なので自殺しました。




 オーバードーズ。半端にやれば後遺症もあり、極端にやっても死ねない死に方です。

 私はこれで自分自身を殺しました。

 吐いても吐いても何も出ない。その後は病院のお世話になりました。


 自殺はよくありません。何故か分かりますか?

 この問いに答えられる人間の多くは感情論でしょうか。次に功利主義等を持ってくる人もいるかもしれません。

 では自殺未遂はどう思いますか?

 これはそもそも関わり合いたくないという人が多いでしょうか。それともやめて欲しいと思う人が多いでしょうか。


 生きているなら良いという言葉は余りにも楽観的すぎます。生きているだけの人間は、生きる屍です。私はそうなりたくなかった。いや、今にして思えばそうなだけで、未来より過去の苦痛が大きかったあの当時は、本当に私自身を殺そうとしたかったのかも知れません。もう覚えていません。


 それからの私は、また物事に精力的になりました。就活を終わらせ、会社でも今で言うプライム市場上場の会社の本社で数字を扱っていました。

 自分で言うのもなんですが何十何百とある支店を指導していたのは、本当に頑張っていたと思います。しかし、ここで問題が起こります。事務作業中のクレーム対応です。本当に神経をすり減らしました。接客業に勤めると人間の悪い部分が見えると言いますが、私はクレーム対応で悪い部分を見させられました。暇な人というのは本当に面倒なものです。

 会社の上司にミスを指摘され他社員の前で叱責された際に退職を決めました。何度も注意される私も悪いのですが、だったらもっと作業を効率化できるように努めて欲しかったですね。私が他の作業で効率化を努め、成功させたタイミングでなんの報酬も無かった時点で辞めるべきでしたね。鬱病診断されましたし。


 そして会社を辞めた後、ニートとなりました。本当に何の生産もしない、最大多数の最大幸福を疑問に感じさせるような暮らしをして、そして、生きることを考えました。今後を生きること、そして生きるということについての両方を考えました。


 結論から言います。

 進化倫理学の互恵的利他主義の観点から、人は皆生きるべきだと考えます。


 互恵的利他主義とは情けは人の為ならず、みたいなことです。バタフライエフェクトのように自分の起こした行動は巡り巡って他人へ影響されます。人は生きていれば活動をします。活動すると他人に見られたり聞かれたり、時には避けられたりするでしょう。それでいいのです。人が溢れているこの世界では、人は一人ではいられないのです。もし一人でいたいのなら諦めましょう。貴方に影響される人間は必ずいます。

 で、影響によって利益が生じるかどうかですが、長い目で見ればあると考えています。例えば「あいつの描いてる作品頭おかしいから見ない方が良い」というデータが人一人の中にあれば、いつか活動によって外に出ます。「あの人の作品良かった」なんてデータの共有があればもっと分かりやすいですね。


 ところで、人は幸福の上に成り立っています。産まれてくることも、生きていくことも幸福がなければ成り立ちません。つまり幸福になる権利は誰しも握っているのです。権利は行使するものです。どんどん使っていきましょう。その権利を行使しないのは幸福から逃げることですから、卑怯者と呼ばれるかもしれません。

 権利を行使する、つまり活動することによって、人は他人に影響を与え、また他人から影響を受ける。そうすることで人は進化します。変態ではなく進化です。

 人として産まれたからには繁栄を目指しましょう。繁栄には人の進化が必要です。貴方のその影響力で、まずは活動してみませんか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
植物状態の兄にカードを貰っていいか聞いてからの死にました。のスピード感に不謹慎ながら笑ってしまった。 自分も飛び降りで自殺未遂をして色々生き死について考えたが、今のところ運次第以上の結論が出てこない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ