Eins 元凶現る
なんか、もう疲れちゃいました。親だって、クラスメイトだって、先生だって、僕たちのことを何もわかっちゃいない。しいて言うなら彼……深淵くんくらいだよ、狐々が楽しく話せるのは。明日が来なければいいのになぁ。
彼はため息をつきながらふと目を閉じた。そして、何も考えないままゆっくりと目を開く。そこは見たこともない豪華な部屋。まるでパーティ会場なその場所で、彼は拘束されていた。そのことに気付いた瞬間狐々が出てきて、神経を尖らせる。
まーてまてまて、今さっきまでSechsが部屋でゆっくりしてたよな?!というかなんか皆居るし、てか何で拘束されてんねん!髪の色変わっとるし、異世界に来ちゃった的な?いや、トラックになんかひかれてへんしまず死んでへんわ!
「っははは、成功しましたなぁ。して、彼は私のところに引き取っていいのですよね?」
うわなにこのきっもいおっさん。デブやん。すげぇ偏見やけど女性殴ってそう。俺男で良かった……。いや、むしろ男やからって殴られるかもしれへんし、護衛とかいたら少なくとも俺じゃ勝てへんな。俺の姿から察するに体はいろいろ変わるっぽいけど、龍真ならワンチャンあるかどうかってところやな。
周りに警戒したまま思考を巡らせていた彼は、先ほどの男の配下であろう屈強な男に抱えられ車に乗せられた。
んんんんんなんか知らんうちに車に乗らされたんでいったん会議ー。
彼の体はまるで眠ったように脱力し、俯いた。だがその瞬間彼の目の前は知らないようで知っている部屋へと姿を変えた。そこには椅子に座っている男女が八人と、車椅子に乗った少女が一人。扉の前に立っていた彼は、空いている椅子に座った。
『ちょ、いろいろ整理しよか?まず一応自己紹介してこう。』
彼は少し困惑したような様子でそう言う。
『順番はどうするの~?』
幽霊を想像させる白い服と魔女を想像させる形の赤い帽子をかぶった彼女は、口元に笑みを浮かべたまま首を傾げてそう言った。
『えーじゃあNillからで。名前と年齢言ってってな』
彼がそう言うと、あくびをした後眠そうに目をこすりながら、椅子に座っている少女の一人が喋り始める。
『……実質ウチね。Einsの佐藤悠香、多分十三歳。』
眠そうな表情からは考えられないほどきっぱりと言い切った悠香は、パジャマのような服装に桃色のクッションを抱えている。
『じゃ、じゃあつぎはぼくですね。つ、Zweiの佐藤仁井です。ねん、年れいは七さいくらい、です。』
仁井は、少し突っかかりつつも自己紹介を終えた。彼は常に何かに怯えるような表情をしているが、その歪んだ表情からも分かるほどに可愛らしい顔をしている。
『んでDreiは今んところ居いへんから次は……、』
『私ですね。』
藍色のフォーマルドレスを身に纏ったハーフアップの女性が微笑みながら言った。
作者の初投稿作品なのですがどうでしたでしょうか?
誤字脱字等あれば遠慮なく叩きつけてください。意図して変えている部分は無かった……ハズ、なのですぐに修正します。