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「忘れ物はありませんか。もう二度とは戻れませんので、今一度ご確認下さい」


迎えに来てくれたアルバートの言葉はとても重いものだった。それはそうだろう、ここは王城の中でも王族の居住エリアの一歩手前、簡単に入れる場所ではない。また、逆も然り。エミーリアはここに移り住んでから、自分の意志で出たことは無かった。王子の婚約者という立場でどこかへ行く以外は。


誰の見送りもない中、エミーリアは小さな飾り気のない部屋をこれまた小さな荷物だけで退室した。そして、アルバートと共に馬車寄せへと向かったのだった。

歩みを進める中、いつもより多めな警備の近衛にエミーリアは心の中で礼と別れを告げながら。



馬車寄せに止められていた馬車はアルバートの侯爵家という家格の割には、豪華というよりはがっしりしたものだった。中に入ると、外見同様豪華さはない。けれど、内部は広めで多くのクッションが敷き詰められていた。


「アルバート様もご一緒して下さるのね。でも、お仕事は大丈夫?」

「はい、昨日のうちに辞めましたから」

「えっ?」

「あ、これをどうぞ」


エミーリアの反応など気にすることなく、アルバートはサンドイッチの入った包みを手渡した。


くうぅぅぅ…

「あっ」

「どうせそうだろうと思いまして」


エミーリアが小さかった時はお菓子、十歳に近づいた頃からはサンドイッチをアルバートは度々差し入れてくれた。どうしてかは分からなかったが、食事を抜かれていることを知ったようで。


「迂闊でした。お茶会の時のお菓子を少しでも部屋に持ち帰るべきだったのに」

「これからは、わざと食事を抜かれることはありませんよ。しっかり働いてもらえるよう食事は必ず出ます。ですから、安心してその書類にサインをしてもらえますか?雇用契約書だと思っていただければいいかと」

「えっ?」

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