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49.解呪

なんだろなー

街道を進み、次の宿場町に到着すると、

各々、部屋に向かった。

九之池は、大分、回復していたが、

周りと視線を合わせず、ルージェナに肩を借りつつ、

ふらふらした足取りで部屋に向かった。


「才籐、少し待ちなさい。

私があなたに祈りを捧げますので、

落ち着いて受け入れなさい」

とメープルが才籐に伝えた。

メープルは、道中、才藤の話しの節々に

どうも違和感があるように感じていた。

普段とあまり変わらぬ雰囲気であったが、

どうも会話の内容にイラッとすることが多かった。


「ん?司祭、何をするつもり?

まあ、構わないけど」

とそんな司祭の印象を知らず、

彼女の祈りを才籐は受け入れた。


「終わりました。何か変化を感じていますか?」

とメープルが興味深げに才籐を見つめた。


「いや、特に何も変化してるとは

思えないけど。

若干、なんつーか、気持ちが

軽くなったっというか、そんな感じかな」

と朗らかに笑いながら、メープルに伝えた。


「まあ、そうでしょうね。

一体、どういう作用であんな風に

なるかの皆目見当もつきませんね。

暴動が起きた町の住民のような

感じでしたし、才籐、ここまでの道中、

本音がだだ洩れのような会話でしたよ。

そして、何故か物事を暗い方へ

考えがちでしたけど。

気づいていましたか?」

とメープルが真剣な表情で才籐に尋ねた。


「いやいやいや、ないっしょ。

ガキじゃあるまいし。

自然と本音と建て前の使い訳を

しながら、話すよ。

それが大人ってやつだよ」

と澄まし顔で、メープルに答えた。

まるで、如何にもそんなわけないという才藤に

メープルは、どうも祈りが伝わってないのか

疑問に思ってしまった。


「昨夜のエドゥアールとの話は

本音を抑えることができずに

吐露していませんでしたか?」


「うっ、確かに。

流石に今、思い返すと

言い過ぎたと思いますよ。

しかも本人が傍にいるのに、

どうも魔が差したとしか

思えないんだよね」

と才籐が殊勝な反省の弁を述べた。


「エドゥアールと九之池にも

祈りを捧げてきます。

どうも心に良くないものが

入り込んでいるようですね。

魔術なのか精霊のせいなのか、

何かしらの薬のせいなのか、

分かりませんが、人為的なものにより、

どうも暗い気分、悪い方向に

捉えるように誘導されています。

それと本音を吐露しやすいようですけど。

何が目的でこのようなことを」

とメープルがぶつぶつと才籐に

話しかけるように呟いた。


 エドゥアールはメープルの祈りを受け入れた。

そして、メープルにルージェナとヘーグマンが

その影響を受けてないのか疑問を投げかけた。


「おそらくですが、ルージェナは、

そういった精神の汚染に対する耐性があるのか、

もしくはそういったものに対する護符のようなものを

身に付けているのでしょう。

ヘーグマンさんは、武人としての長年の研鑽が

なせる業でしょうねぇ。

精神力で打ち勝ったのかと予想しています」

とメープルが自分なりの解釈を話すと、

エドゥアールは、

「つまり、我々は、未熟ということか」

とため息をついて答えた。


「あの域まで到達するには、

長い時間が必要ですよ。

否、研鑽を続けても

到達しえないかもしれません。

己を磨くことを忘れなければ、

自ずと結果はついてきます」

とメープルは伝え、九之池のいる部屋に

向かった。

若干、重い足取りメープルの後ろ姿に

エドゥアールは無言で頭を下げた。


九之池さん、復活しろー

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