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44.口臭

エチケットの意識は!

九之池たちは出発して、直ぐに

キリアへ向かう街道に5つの顔の

潰れた死体が転がっているのを発見した。


この世界に召喚されて、死体を何度も

見ている九之池であったが、このような死体を

見るのは初めてであった。

それは、他のメンバーも同じのようであった。

その異質な死体にどのメンバーも只々、

息をのみ、見つめるだけだった。


「なんなんだろう、これは。

どうすれば、こんなに平たくつぶせるんだろう」

九之池は、首から上がぺちゃんこに

潰されている死体を見て、

吐き出すように言った。

そして、気分を悪くしたのか、

茂みに隠れて、げーげーと吐いていた。


「さて、これはどうしたもですかな。

この歳まで、人間をこのようにする魔術は

聞いたことがありません。

遺体を保管して、帝都に送りますかな?」

とヘーグマンが述べると、

「町まで、さほど距離がありません。

才籐、申し訳ありませんが、この場を頼みます。

私が戻って、帝都へ送る手配を依頼してきます」

とメープルが言うと、馬に跨り、

町に向かって、走っていった。


九之池を除く、4人で今後のことを

話していると、突然、九之池のいる茂みの

上の方から、声が聞こえてきた。


「ねぇねぇねぇ、なんで君たちは

僕の邪魔をするの?

今後も一々、立ちはだかるなり、

実験の邪魔をするなら、殺しちゃうよ」


聞き覚えのある声を九之池は耳にした。

そして、恐る恐る見上げると、

そこにはあの妖精もどきが木に座っていた。


「ぎゃーああああぁー」

九之池は絶叫をあげた。

そして、棍棒を一本、それに向けて、投げつけた。


他の4人はその絶叫に驚き、直ぐに

九之池のいる方に警戒をして、各々、武器を構えた。


「まったく、野蛮だなぁー。

いきなり木の棒を投げつけたり、

話を聞かずに武器を構えたり。

本当に最近の教育はどうなっているのかな」

高いところから、声をかける妖精もどき。


「貴様がこの連中をこのようにしたのか?」

エドゥアールが質問を投じた。


「役に立たないのは、嫌いだよ。

それに話し合う前にいきなり切りつけてきたから。

仕方なかったんだよ。

僕は、力のない研究者だから」

とニタニタしながら、答えた。


「ならば、我々が貴様をここで

倒すことも問題ないな」

とエドゥアールが言うなり、

妖精もどきに向かって、ナイフを投擲した。


「あーあーもう、知的労働以外は苦手なのになぁ。

君たちは、手伝ってくれそうにないから、

この舞台から、退場して貰おう」

と言って、九之池のいる付近に降下してきた。


近づく妖精もどきに向かって、

九之池は、「っこっこちにくるな」と喚きちらして、

吐いた後の酸味の聞いた口臭を

あたりにまき散らせていた。


妖精もどきは一言、「くっくさいよぉ」


エチケット違反です!

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