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43.逃亡

犯には誰だー!

お前だー

全速力で走った九之池は、先ほどの場所に

到着すると、まず、息を整えることからはじめた。

「九之池さん、大丈夫ですか?」

少し遅れて、到着したルージェナが

心配そうに尋ねた。


「ふうふう、はぁはぁ、ダイジョブ」

とそれだけ言うと、はぁはぁ、言いながら、

呼吸を整えることに九之池は、集中した。


大分、落ち着いてくると、

九之池は周囲を見渡した。

剣呑な雰囲気は残っているが、

暴動はひとまず、収まっているようだった。

多くの人々がそれなりの怪我を

負っており、その場に座っていた。

そして、彼らを囲むように町の警備兵が

立っていた。


「おっさん、落ち着いたか!

まー来るとは思わなかったけど、

来た以上は、何か役に立ってくれよ。

俺は、調査とか推理とか

めっちゃ苦手だからさ。よろしく」

と才籐が言った。


「気のせいですかね。

メープル司祭の右腕らしきものが

人々の上の方をうろうろしていませんか?」

とルージェナが才籐に尋ねた。

先端が拳の形状になっている輝く白金の

腕らしきものが確かに人々の頭の上を

ふらふらと動いていた。


「あーあれか。司祭のあの万能右腕が

人の悪意を探知しているところじゃね」

とさも当然のように才籐が説明した。


九之池は、うろ覚えであったが、

ぶつかってきた人物と暴動を煽った人物を探した。


「見つからない。なんで?なんで!」

10分程度、探してみたものの見つからず、

自問自答する九之池だった。

メープルの右腕にも反応する者はいないようだった。


 警備兵も一部の派手に暴れた者たちを

拘束するに留めて、この場を解散するようだった。

どの住民もすっきりしたような雰囲気で

三々五々、散っていった。


「九之池さん4~5人の一団がどうやら、

暴動が広まった直後に抜け出しているようです。

ここら辺では見たことない人達だったようです」

とルージェナが得た情報を伝えてくれた。


「えっ、じゃあ、もう事情を聴くのは無理かー。

しょうがないや。宿に戻って、

キリアに向かう準備をしようよ。

なんか住民もすっきりしたような感じだしね。

あっそうだ、ルージェナ、ありがとう」

と言って、九之池が伝えると、


「おいおい、おっさん。諦めのが早くない?

ってかその一団って、俺らが向かう方に

行っているじゃん。道中、ちょっと、調べてみるかな」

と才籐が言うが、九之池はめんどくさいのか、

返答にまごついていた。


「そうですね、顔を見ているのは、

才籐と九之池さんだけですから、

ご協力をお願いします」

と有無を言わさずの迫力でメープルが宣言した。


「はぁ、いいですけど、

痛めつけたりとか拷問とか無理ですよ」

と生理的に苦手なことを

前もって伝える九之池だった。


「ええ、わかりました。

彼らが居たら、余計なことはせずに

伝えていただければ結構です。

ヘーグマンさんとエドゥアールさんに

連絡して、直ぐにここをでましょう」

とメープルが言った。

 九之池たちは、宿に戻り、直ぐに出発の準備を始めた。


「くそったれ!何が暴動が広まって、略奪し放題だ。

警備兵は来るわ、司祭クラスが現れるわ、散々だ」

と九之池たちが探していた一団が馬を

走らせながら、悪態をついた。


「まったくだ!頭、さっさとここから、離れましょうや。

何かを頼まれるのもやっかいですぜ」


「しかし、あのやろーから、逃げられますかね」


「逃げるんだよ。付き合ってられるか。

そのうち、俺らが捕まって、投獄されるわ」


と各々が話した。


 ふわりふわりふわり、緩やかな動きの割には

かなりの速度で、一団の一人の肩に

止まったモノがいた。


「ねぇねぇねぇ、どこいくのー。

はじめてにしては中々に良い成果でしょう。

他の街でも仕込みはしてあるから、続けようよお」

とニコニコしながら、それは話しかけていた。


逃亡成功!

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