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35.ごねる

ネゴシエーター九之池さん

ビルギットは、ルージェナの青い炎に

見惚れていた。


「ビルギットさん、この炎は、

鎧すら容易に溶断しますよ。

これを魔石に封印できれば、助かります」

と九之池が言った。


「ルージェナと言ったな、魔術を解いていいですよ」

とビルギットが言うと、

ルージェナは瞳を閉じて、解呪した。


「そこそこの炎の使い手と思ったが、

瞳の色に騙されたよ。

その瞳は、青い炎の象徴だったんですね。

私もまだまだ、鑑定の勉強不足だな」

と憂いを帯びた表情でビルギットが言った。


「父や母の瞳は燃えるような色だったのですが、

私はどうも一族に稀に生まれる色を授かりました。

でも青くもなく、紅くもなく、蒼いですから、

半端ですよね」

とルージェナがビルギットに言った。


「いやいいや、あの炎の槍を見れば、

十分すぎるでしょう。

努力も必要だが、才能がないと

あれほどのものは、生まれないよ。

冒険者として、名を馳せれば、

二つ名に先ほどの炎が冠せられるよ」

とビルギットが言った。


「えっ、二つ名。なにそれ、教えて」

九之池は二つ名にめっちゃ興味を示した。


「王侯貴族より授けられたり、

吟遊詩人が謳い広まる高名な者たちの

もう一つの通り名だよ。

近年では、老公が有名かな。

最も二つ名が有名すぎて、

本当の名前は忘れ去られているけどな」

とビルギットが説明した。


「九之池さんもいずれは、

二つ名がつくといいですね」

とルージェナ。


九之池は頷いたが、いい歳したおっさんに

二つ名とかどうなんだろうと

素朴な疑問が頭を支配してしまい、

ボーと考えていた。


九之池さん、九之池さん、ルージェナだろうか、

何か呼ぶ声がする。

ふとそちらの方に注意を向けると、

ビルギットが何かを言っている。


「おい、九之池とやら、トランスするのは

いいけど、どうするのだ?

魔晶クラスでないと、封印できないよ、あの青い炎は。

それと価格だが、魔晶込みで金貨2枚は必要だよ。

製作するなら、ルージェナは明日、半日ほど、

付き合ってもらう」


「えっええー」

とルージェナ。


「えっー、ええ」と九之池。


「二人のニュアンスが違うけど、

どっちなんだ、製作するのかしないのか、

はっきりしてくれ」


九之池は、「二つ製作してください」と言った。


「二つで、金貨1枚、銀貨30枚でどうでしょうか?

今出せるのはこれが精一杯です」

とすかさず、ルージェナが交渉した。


「じゃあ、それで引き受けよう。

ふふっ今月はもう、働かなくていいぞー」

と満面の笑みでルージェナから、

お金を受け取るビルギットだった。


あれ、僕たちもしかして、ぼられたのかな?

とルージェナと九之池は顔を見合わせた。


鬼のネゴシエータールーたん!

しかし、負けた。

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