表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/277

32.お買い物

お土産を探す!

帝都までの道のりはあまり会話もなかった。

帝都の直轄領があのような惨劇に見舞われたため、

メープルとヘーグマンが帝都への報告に向かい、

魔人の死体を引き渡すことになった。


才籐は一旦、教団本部に詳細の報告のために戻り、

エドゥアールはどうやらシリア卿へ報告書を綴っていた。

九之池は武具が破損してしまったために

帝都の武具屋で揃えることにした。

エドゥアールは、九之池一人だと不安なため、

ルージェナを同行させることにした。


「九之池さん、また、棍棒ですか?

それとも新しい武器を探しますか?

バルザース帝国は鉱物資源が豊富ですから、

武具も色々とありますよ」

と務めて明るく話しかけるルージェナだった。

九之池はルージェナが気を遣ってくれていることに

恥ずかしいとか情けないと思わず、素直に感謝した。


九之池は惨劇に動揺していたが、

あの日本語が目に映ると文面の意味に

ショックを受けるより、なぜという疑問の方が

どうしても頭を過ってしまっていた。

どしてもあの妖精もどきに会って、

真相を知りたい気持ちに駆られていた。


「九之池さん!考え事しながら、

歩くと危ないですよ!

九之池さんがふらふらしているから、

周りの人がこっち、避けていますよ」

とルージェナが九之池に話しかけた。


ふと、隣のルージェナを見ると、

自分の左腕に美人の右腕ががっちりと

組まれていた。


「ふぇぇー」

と情けない声を出して、

ルージェナの腕を振りほどいた。


「ちょっ、どうしんたんですか?」

と突然の九之池の行動にルージェナは

驚いて、尋ねた。


「いやいや、周りが避けているのは、

ルーたんのような若い美人さんと

こんなおっさんが腕を組んでいたら、

貴族や大商人ような身分の方でない限り、

周りが避けて歩きますよ」

と諭した。


ちょっと、ルージェナは拗ねた表情で、

「じゃあ、このくらいなら、大丈夫でしょう!」

と言って、手を取った。


九之池は手を握るくらいなら、

まあ、変な誤解を招くことはないだろうと思い、

軽く握り返した。

そして、手の平はきれいにしていたよな、

汗ばんでないよなと自分に言い聞かせた。


「周りからどう見えるのかなー。

九之池さんはどう思います」

とぐいぐいと引っ張るルージェナだった。


九之池には若干、早い足取りだったが、

ルージェナが嬉しそうなので、その歩調に合わせた。


「まあ、叔父さんと親せきの娘さんと

いうことで、父と娘には、全然、

似ていませんからねぇ」


「まあ、そうですよね。でもでも九之池さんが

爵位を得れば、このくらいの年の差の

夫婦でもおかしくみられませんよ」

と言って、微笑んだ。


九之池は苦しかった。

この娘と自分に課せられたあの約定が

この娘と楽しく過ごす毎に重くのしかかってくる。

なんとか自由にしてやりたかった。


「九之池さん!着きましたよ。武具屋です。

ベルトゥル公国では見られない規模のお店ですね」

とルージェナは店の大きさに驚いていた。


「おおっ専門店だけど、なんと言うか、

職人さんがいる雰囲気はないですね」


「確かにそうですね。

ごくごく一般的で手ごろな品が

揃えてありそうですよね。

職人さんが構えているようなお店を探しますか?」


「いやいやヘーグマンさんの大剣のようなものを

探しているわけではないので、

安くて頑丈な棍棒を買いましょう。

ルーたんはどうする?」


「この後で、魔術品を扱っているお店に行ってみます。

バルザース帝国でしたら、かなり色々なもの

扱っていますから」

と言った。


「おおっ、魔術屋ですね。僕も行きます。

ベルトゥルでは大したものが

見れませんでしたから!」

と若干、興奮気味に話す九之池だった。


九之池さん、伝説級のアイテムを見つけるか???

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ