31.殺戮
帰宅の時
朝食後、村に戻ることにした九之池一行だった。
魔人は、調査のために持ち運ぶことになった。
簡易の緊急用ベッドのようなものを作り、
4人で運ぶことにした。
「気持ち悪いなあ。死体を運ぶなんて」
と九之池は先ほどからぶつぶと
独り言を発していた。
しかし、九之池の愚痴に反応する者は
いなかった。
ルージェナですら、反応せずに黙々と村に
向かって歩いていた。
九之池たちは、村であった場合に到着した。
そこは、確かに村であった。
しかし、そこは、焼き尽くされ、
殺しつくされた後であった。
妖精の腹いせかどうかわからぬが、
蹂躙された痕跡がいたるところにあり、
小さい跡地は、死の臭いで充満していた。
誰もが無言で立ち尽くしていた。
少しせこいが愛嬌のある村長、
小さな子供たち、不安そうだったが、
才籐を仰ぎ見ていた人々が判別も
つかない状態になって、村の中央に
山のように積まれていた。
九之池は、その光景に絶句し、
その場に立ち尽くしてしまった。
他の面々は、沈痛な面持ちであったが、
取り乱すことなく、各々、祈りを捧げていた。
才籐は、「そうかおっさんは、初めてか。
慣れるのはよくないが、戦場に出れば、
此処までひどくはないが、たまに目にすることだぞ。
それに魔物や盗賊に襲撃された後だってそうだしな」
と淡々と九之池に伝え、
「せめて、埋めてやるくらいしかできない。
おっさん、立ち尽くしてないで、手伝えよ」
すべきことを九之池に伝えた。
昼頃までかかって、死体を埋めて、
九之池は手を合わせ、馬車に向かった。
なぜか馬車と馬は無事だった。
馬車の荷台を広げて中を覗くと、九之池は叫んだ。
「才籐さーん!才籐さーん!」
他の面々は、九之池の狂ったような
叫びに呼応して、馬車の方へ集まった。
九之池は他のメンバーには目もくれず、
才籐の腕をつかみ、荷台の中を見せた。
「おっおう、これなんだよ。
なんでだよ、誰が書いたんだよ、ありえない」
才籐はうわ言のように呻いた。
遅れて他の面々がそこを覗くが、
誰もそれを理解することはできなかった。
魔道義手取扱説明書を読んでいた
メープルだけが何とか読むことができた。
九之池は才籐に言った。
「これは、誰に向けてのメッセージ
なんでしょうか?」
「あんたに決まっているだろうよ。
次点で俺か。
あの妖精が腹いせに書いたとしか思えないよな。
くっそ、むかつく、イラつく以上に
なぜって疑問の方が浮かんじまう」
そこには、紅い色で漢字と平仮名で
「お前のせいで、村人は死んだ」
と書かれていた。
とんでもないことになっているよ




