30.起床
いつもの九之池さん!
「ところで、才籐さん、他の方々は?」
と九之池が尋ねると、
「朝食のために狩りに行っているよ。
司祭はともかく、彼らは手慣れている連中だね。
それより、おっさんは魔人の方に
興味があるんだろう。特に素材に。
そこにあるよ。
エドゥアールさんが
何らかの結界を張っていたけどね」
と言った。
「いやまあ、興味はありますが、
魔人なんてどの部位に価値があるのかな?
魔晶クラスが見られるとうれしいかもですね」
と言って、魔人の死体に目を向けた。
頭とそこから切り離された胴体が
結界の中に転がされていた。
どのような素材が取るのだろうか
九之池には想像もつかなかった。
「ヘーグマンさんが来たら相談ですかねー、
才籐さんは素材の取り方を知っていますか?」
「知るかっ!そもそも魔人なんて
見るのも初めてだよ。
この世界で魔人なんて、物語の世界の
生き物だってのに。ったく!
それより、あの妖精もどきが言った
言葉の方がきにならないか?」
と才籐が言った。
「妖精もどき?」
九之池は覚えがないために聞き返した。
「おっさんが気絶しているときに
後方から現れたんだけど、自分のことを
エンジニアって言っていた。
しかもご丁寧にエンジニィーアーって
日本人が英語ぽく話すイントネーションでね」
「聞かなきゃ良かった。
物凄く気になるじゃないですか!
しかもその発音、懐かしすぎますね。
英語を習いたてのときに
よくやりませんでした?」
と九之池は、論点のずれた回答を
才籐に答えた。
「おっさん!確かにその通りだけど、
その話じゃなく、妖精だよ。
俺らと稲生以外にも召喚された奴が
いるかもしんないだぞ」
と話を本題に戻した才籐だった。
「そうですねぇ。その可能性、
もしくは老公って人と接点が
あったのかもしれませんね。
もどきの寿命なんてわかりませんからね。
ところで老公の名前って知っていますか?」
と九之池はまたしても話の本題から
少し離れた質問をした。
「知らん。秘匿されているらしい。
キリアにいる英雄さんも
知らないようだったな。
そのっくそっ、あの美人の奥さんは
知っているようだったけど。
秘匿されているから、
教えられないってことみたいだ」
となぜか悔しそうに話す才籐。
「えっ、その人、結婚しているんですか!」
九之池は驚いた。
元の世界に戻ろうと研究していると
聞いていたのにこの世界で美人の妻が
いるとか、なんだか許せない気分だった。
「おっさん!なんでこう話が
本題からずれるんだりょ」
と舌を噛んで突っ込む才籐だった。
安定の九之池さん!




