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26.悲鳴

悲鳴の顚末、、、

どうやら才籐は、メープルに

こっぴどく説教をされたようだ。

討伐の朝から、メープルに促されて、

才籐は、すみませんでしたと頭を下げた。


森を行軍中に才藤は、

「おっさん、あの表情はやばいよ。

あれは、絶対におかしい。

一体、どんな経験をすれば、

あんなことできるようになるんだ」

と言った。


「ラインワークをシフトで

20年以上していれば、会得できます」

となぜか申し訳なさそうに九之池は答えた。


森を進むと、数だけはそこそこに現れるが、

大した魔獣もおらず、特に問題もなく討伐を

進める九之池たちだった。


「ふう、ルーたん、大した素材は

手に入りそうにないですね」

と少々、不満げな九之池だった。


「レアな素材は、それなりの魔物や魔獣に

なりますから、倒すのは少々、

大変なことになりますよ、九之池さん」

とくすりと笑って、答えるルージェナだった。

そして、そんな二人を羨ましそうに

眺める才籐だった。


「司祭、流石に妙ではありませんか?

魔獣がこれほどまでに自分らの領域を捨てて、

移動するものでしょうかね」

とヘーグマンがメープルに話しかけた。


「確かに妙です。

森の奥に何かがあったのでしょうね。

一先ず、進めるだけ進んでみませんか?」

と周囲を警戒しながら、メープルが答えた。


しばらく魔物や魔獣を倒しながら、

進んでいると、才籐が

「司祭、なんかやばいぞ。

この先にはあまり向かわない方が良さそうだぞ」

と言った。


「それは、あなたの直感が

訴えているのですか?

それとも疲れたからですか?」

とメープルが真剣な表情で尋ねた。


「この場で冗談はいわねーよ。直感だよ。

何か良からぬことを訴えてくるんだよ」

と才籐が答えた。


「前科があるから何とも言えませんわ。

とりあえず、わかりました。

私が祈りを捧げましょう。

邪なるものに反応するやもしれません」

と才籐の知られたくない過去を

小見出しにするメープルが祈りを捧げ始めた。


祈り始めたメープルの傍で才籐が

違う違うんだとぶつぶつ独り言をつぶやいていた。


メープルの眉間に皺がより、

苦悶の表情で祈り続けていた。


美人はどんな表情でもそそるなぁと

この場にそぐわないことを考える九之池だった。

そして、その思いが顔に表れていたのか、

ルージェナが九之池の足を睨みつけ、

エドゥアールが侮蔑の表情で九之池を見た。


「ふうふう、これは、ちょっと、

我々だけでは、対処しきれない可能性があります。

本部の神官戦士団の力を借りた方が

良いかもしれません」

と深刻そうな表情のメープルであった。


「近づいての様子見も危険なのか?」

とエドゥアールが尋ねると、

「おそらく、察知されるでしょう。

戦闘になれば、全滅の恐れがあります」

とメープル。


「それほどですか、一体、

何が潜んでいるのでしょうか?」

とヘーグマンがつぶやくと、

メープルが更に付け加えた。

「いえ、存在を隠そうとはしていません。

ただただ、その場に鎮座しているだけです。

おそらくですが、古代の魔獣、

もしくは遥か東方に追いやられた

魔人か魔神の類かと」


「じゃあ、戻るということで」

と九之池は、自分自身の希望も含めて、言った。


「いえ、才籐の直感が最大限に

危険を発するまで近づきます。

できる限り情報を集めます」

とメープルが言った。


「はっ?戻った方がいいんでしょ?

才藤さんもそう思うでしょ。

戦略的撤退が必要な場合なんでしょ。

最悪、戦闘になったら、どうするの?」

と九之池が捲し立てた。


彼は素材を集めるための狩りであっても

ある程度の安全を求めた。

そして、生死が紙一重の戦いなんぞ

求めていなかった。

できれば、どんな世界であっても

安穏に暮らすことが彼の希望だった。


「おっさん、諦めろ。

司祭が言い出したら、一人でも行くぜ。

まあ、付き合えや。

ってかあんまりにも情けないこと言うなよな。

どのみちこの世界では、どうあがいても

前の世界のような安全はありえない。

覚悟を決めろ」

と淡々とこの世界で5年の年月を

生き抜いた男が言った。

一人で戻れるほど、方向感覚に

自信もない九之池はメープルの提案に

従うしかなかった。


「では、才籐、頼みます。

あまり無理はしないでいいです」

とメープルが言うと、

「当たり前だ、死にたくないし」

と切り返した。


各々、武器を再確認すると、

原因の中心地に向かって歩き出した。


こわっ!


才藤さんの才能がここで明らかに!

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