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24.ぷるぷる

ぷるぷるしたのはどちらかな???

「昭和から平成を経て、令和を

過ごしましたが、才籐さんは?」

と務めて明るく言った。


「おいおい、ほぼ同じじぇねーか!

俺は平成生まれで令和の時に

こっちに来る羽目に。

ってか人をねじ切るってなんだよ」

と才籐が噛みついた。


「意識はありませんでしたが、

そういうこともあったようです」

と改めて務めて明るく言ったが、

どうもうまくいっていないようで、

卑屈な笑いに受け取られたようだった。


「どんだけ卑屈なんだよ。

まあ、いいけど。殺しちまったか!

もう、戻ることは諦めて、こっちの世界に

なじんだ方が良さそうだな。

あの国には人殺しなんて、ほとんどいないしな」

と才籐の言葉を九之池は聞いて、

人殺しという言葉に声が詰まった。


才籐はさらに続けて、言った。

「おっさん、これからどうするんだ?

見た感じ、あの時代の技術をこの世界で

再現できるような才能や経験もなさそうだけど?」


九之池は話題が変わったことにほっとして、

「ひとまず、キリア王朝にいる召喚者の方に

会うつもりです」

と言った。


「あいつに会うのか!多分、むかつくぞ。

がちでむかつくぞ。すかした野郎だからな。

ちょっとこっちの世界で成功したくらいで、

調子に乗んなっての」

と才籐がまだ、見ぬ英雄を罵った。

そして、その直後、彼の脳天に白銀の腕が

メープル司祭より振り下ろされた。


大司教がほほっと笑いながら、

「このメープル司祭は森の獣の討伐の際に

その英雄に協力したのですじゃ。

そのため、彼のことを詳しく知りたいならば、

才籐より、メープルに伺うのが良いかと」


「けっ、ふられた恨みと奴の嫁への

罵詈雑言しか聞けないけどな」

と痛みを堪えながら、才籐が言った。


「稲生様は、非常な人格者です。

才籐がこのように話せるようになったのも

少なからず、彼のお力添えがあったからです。

最初は毎日のように泣きはらして、大変でした」

と澄ました顔でとんでもない情報をさらす

鬼のような司祭であった。


「なっ泣いてなんかないし、

へっ変なこと言う司祭様だなぁ」

明らかに動揺する才籐であった。


「さてさて、大司教様、今後の旅路に

アンカシオン教のご加護を

期待してもよろしいのでしょうか?」

とヘーグマンが尋ねた。


「ほっほっほぉ、召喚者様の御心のままに。

のちほど、具体的にメープル司祭と

お話しして頂きましょうな」

と言って、メープル司祭に面会を

終了するよう目配せをした。


「召喚者たる九之池様に俗事で

手を煩わせるわけにはいきませんね。

では、ヘーグマンさんとエドゥアールさんに

後程、打ち合わせをお願いします」

と体よく打ち合わせできそうなメンバーを

メープル司祭は選択した。


「くくっ、まあ、このおっさんじゃ

打ち合わせになんねーもんな」

と才籐がげらげら笑った。


無言でメープルの右腕が才籐を打ち据えた。

そして、言った。

「では、一旦、ご退出願いましょうか?

宿泊施設はこちらでご紹介します」


「これは、助かります」

如才なくエドゥアールが答えた。


大司祭を除く面々で正門に行き、

別れの挨拶を交わした。


「おっさん、死ぬなよ。

あの世界のことを話せるのは、

あんたと奴だけだから」

と去り際に寂しそうに才籐は

言い残して、去った。


九之池たちは一旦、宿泊施設に向かい、

少し休息し、ヘーグマンとエドゥアールが

打ち合わせに向かい、九之池とルージェナは

施設でまったりと過ごした。


次の日、なぜか彼とメープル司祭が

馬で九之池たちの馬車と一緒に

同行することになっていた。

宿泊施設の前で改めて会った才籐は、

なぜか顔を真っ赤にして俯いていた。


才藤さんー

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