23.教団本部
九之池さん、顔パス!
教団本部に4人が到着し、
来訪を告げると、すぐに応接室に通された。
「アポなしで、すぐに面会とか、
公国も結構、影響力があるんですね」
と九之池が言うと、
ヘーグマンは、その発言を否定した。
「いえ、違います。
公国のみ使者でしたら、おそらく、
突然の訪問で通されることはありません。
ここがアンカシオン教団の施設のためです。
召喚者たる九之池殿が同行しているからです」
「うーん、感覚的にわかりませんが、
ラッキーですね」
と適当に九之池が相槌を打った。
待つこと、10分程度で初老の大司教と
若い司祭が部屋に入室した。
「うほっ、でかっ。金髪やん」
と脳内の感想がそのまま、言葉に
なってしまった九之池だった。
その言葉を聞いて、ルージェナが若干、
不満そうな顔をした。
そして、エドゥアールが九之池を睨みつけた。
まず、大司教が会釈をして、自己紹介をした。
そして、握手のためか右腕を九之池に差し出した。
九之池も同じように挨拶をどもりながらもした。
そして、同じように司祭も挨拶をすると、
左手を差し出した。
九之池は不思議に思いつつも、
美人との握手への緊張のために、
手のひらが脂汗で湿っていた。
彼女と握手をすると、その感触に刺激されてか、
先ほどより、長くしっかりと握っていた。
邪な感情が九之池に芽生えた瞬間、
九之池はうめき声を発して、悶絶していた。
白銀のごとく光る右腕のこぶしが
九之池の股間を直撃したようだった。
「これは、一体、どういうことでしょうかな?
事の次第によっては、、、」
と言葉を切り、ヘーグマンが瞬時に応戦の構えをした。
同様にエドゥアールとルージェナもまた、
応戦の構えをとった。
「ほっほっほぉ、すみませんな、
こちらのメープル司祭の右腕は義腕なのですよ。
彼女に強い邪な感情や下劣な感情を
持つものに強く反応するものでな。
まさか、召喚者様が初めてお会いする女性に
下劣な感情を露わにするとは思いませんだ」
と言って、頭を軽く下げた。
そして、メープル司祭も頭を下げたが、
九之池を蔑んだ目で見ていた。
「そうでしたか、召喚者がみなすべて、
人格者というわけではありませんから、
仕方ありませんね」
と納得するエドゥアールだった。
九之池の機能回復まで5人は
当たり障りない会話をした。
「さて、九之池殿も回復したことですし、
今、我が教団にいる召喚者をご紹介しますかな。
お互いにいい刺激になるでしょうから。
メープル司祭、彼を呼んできておくれ」
と大司教が言った。
しばらくすると、メープル司祭に伴われて、
一人の召喚者が応接に入室した。
黒髪で黒い瞳、肌はいい感じに褐色に
日焼けしており、すらりとした筋肉質の体型で
そこそこのイケメンだった。
召喚者たる男は、才藤とぶっきらぼうに名乗った。
名乗られたため、九之池も同じように名乗った。
「あんたも日本人か?
まあ、うだつのあがらなそうなおっさんだな。
どっちともおまえの女?」
と不躾な質問を突然した。
「えっ、いや、どっちも違いますが。
僕も日本出身ですよ」
とおどおどしながら、言った。
どうもこの手のタイプが苦手な九之池だった。
「ふん、まあ、いいや。異世界に来たら、
急にもてるとか超常の力に目覚めるとか
妄想に浸っていると、あっけなく死んじまうよ。
あんた、冴えない感じのおっさんだから、特にね。
なんか特技とかあんの?」
とあくまで上から目線でぶっきらぼうに言う才籐だった。
「いえ、まあ、ここの世界で
役に立ちそうな特技はないですが」
と言って、突然、無の境地を発動させた。
「はっ、えっ、何これ」
突然の九之池の変化に才籐は動揺したが、
少しすると、
「ぐははっはっーこいつ馬鹿じゃねぇの?」
と言って、嘲笑していた。
「はあ、まあ、こんとこです」
と九之池は答えた。
「おいおい、同じ出身地として、
くそ恥ずかしいんだけど、おまえ、何なんだよ。
このキモデブが」
と才籐が九之池を罵倒した。
九之池は、一方的な罵倒に身体をぷるぷるさせ、
我慢の限界に達したのか、ついに怒りが
爆発してしまった。
しかし、怒りの行動に移す前に横から、
凄まじい罵声が才籐に向かって飛んだ。
「あんたのほうこそ、何ができるよの!
あのねぇ、九之池さんは、本来の力を
発揮すると、恐ろしい力を出すんだから。
あんたなんて、多分、1分持たずに死んじゃうよ。
それに料理のアイディアも秀逸だし。
あんたに何か実績あるの?」
と無意識に炎のオーラを背後に発現、
させて、ルージェナが怒鳴りつけた。
「おいおい、お嬢さん。
このおっさんに何か弱みでも握られているのかよ。
俺が解放してやろうか?
こんな人も殺せないような豚、
俺がしめてやると」
と白い歯をのぞかせて、にやりと笑った。
「はあ?この人は、もう、何十人も
闘技場で人を来る日も来る日も
ねじ切ってきているのよ。
あんたこそ、人を殺せるの?」
とルージェナが即座に答えた。
「えっ、おっさん、人を殺したの?」
びっくりしたように才籐が言った。
九之池は下をうつむいて何も答えなかった。
代わりにエドゥアールが言った。
「監獄に連れていき、毎日、死刑囚と闘技場で
殺し合いをさせて、慣れさせました」
「まじかよ、あんた、本当に同じ出身かよ。
生きた時代が違うのかよ」
と才籐がびっくりしたように叫んで、九之池を見た。
出会いは突然!




