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21.説明会

九之池さん学ぶ!

旅が再開して、毎日のように

ルージェナの左肩から上半身の服を脱がして、

薬を塗る九之池だった。


 最初、ルージェナの肌を見て、

薬を塗るだけで、身体中が震えてしまい、

上手く塗ることすら出来なかった。

身体の一部が、膨張してしまい、

固くなり、呼吸が荒れてしまった。


「はあっはあっはあっ、、、はぁ~」

薬を塗って、傷口に布を

巻き直すだけなのに九之池は、異常に疲れていた。

いい歳をした自分が傷を負った若い娘を

介護して、興奮していることに

自己嫌悪に陥りそうだった。


 3日目、九之池は、耐えられずに夜中、

ルージェナの裸体を懸想して、シコシコしてしまった。


 明朝、ううっ、何とかしないと、犯罪を起こしそうだと、

昨晩の行為を思い出して、考えていた。


 九之池は、20年近くにもおよぶ、

ラインワーカーとして得たスキルを

行使することにした。

彼は、そのスキルをこう呼んでいた「無の境地」と!


この境地に到達するには鋼の心と

その仕事を続ける忍耐が必要であった。


 次から次に来る部品に対して、心を無にして作業を行う。

そして、いつのまにやら時間が過ぎる。

これを応用すれば、欲情も抑えられるのではと考えた。


「くっ九之池さん、九之池さーん」

何かが呼び掛けている。

すりすりと薬を傷口に塗り込む。

そして、綺麗に洗った布を巻きつける。


作業完了。


九之池は、作業完了から少しずつ、意識が戻ってきた。


「ルーたん、今日の薬は完了ね」

と声をかけて、片づけ始めた。


「ちょっと、九之池さん、目が半眼で

今にも死にそうでしたよ。大丈夫ですか?」

とルージェナが心配そうに九之池に声をかけた。


「ふっ、今日は、怖くなかったでしょ!

昨日までとは違いますから」

ちょっと自慢気な九之池。


「昨日まで怖い?今日の方が怖いですっ!

表情が全く変わらないし。

昨日までは、怖いんでなくて、きもいんですっ!」

と力説して、九之池を傷つけるルージェナだった。


「えっ、、、」

九之池はその言葉にぷるぷる震えだして、

小さな声で「すみません、女性に慣れていないもので」

と答えた。


「あっ、いえ、こちらこそ、すみません」


馬車の中をぎこちない雰囲気が包んでいた。


 九之池はこの雰囲気に耐え切れず、話題を変えようと、

バルザース帝国についてルージェナに尋ねた。

ルージェナもほっとした様子で、九之池に

バルザース帝国について説明した。


「強力な兵団を持つ国ですよー以前、

話した通りアンカシオン教が盛んな地域です。

九之池さん、人気者になれるかもしれませんよ。

あくまでも噂ですが、近年、九之池さんと

似たような風貌の方が召喚されたとか。

黒髪で黒い目という珍しい組み合わせなので、

噂になっていました」

とルージェナが説明した。


「どうして、黒髪で黒い目が珍しいの?」

不思議に思い九之池は尋ねた。


「人に内包される魔素が髪や瞳に現れます。

特に髪は顕著に現れます。

生まれ持ったものですから、

これは変えることができません。

瞳は余程のことがない限り、青や緑が

基調とされています。

これは水や緑が人にとって、

貴重なものであるからと言われています。

髪は内包される魔素の濃さが顕著に現れます。

私の場合、炎の魔素が強いので、

髪がこのような色なのです」

一息つき、更にルージェナは説明を続ける。


「瞳と髪が同色の場合、非常に強い力を

秘めていると思っていいでしょう。

そして、黒は闇を連想させるので、

不吉の象徴たる魔素が強いと思われています。

というより、黒髪や黒い瞳の人を

見たことがありません。

闇を内に込めて生まれてくるとか

聞いたことないですから」

と言って、九之池の反応を伺った。


「といことは、僕はこの世界で不吉の象徴!

ダークヒーローってことかな?」

異世界のレアキャラのようで、

少しわくわくする九之池であった。


「いえ、召喚者として、最近、非常に

有能な人物の可能性が高いと目されるように

なっていますよ。

数十年前に召喚された老公、

そして、近年、獣を討伐した英雄。

二人とも黒髪に黒い瞳であったと。

九之池さんも同じだから、他国の高官の方々に

初見で見くびられることはないかと思います」

と続けた。


 九之池は、噂の両人について、

余計なことを心の中で罵った。

与り知らぬところで、たかが髪と目の色が同じだけで、

自分への期待度が高くなり、超えるべき

ハードルが上がっていることに憤りを感じた。


「まー二人とも日本人ってことはないだろうなあ。

アジア系かな。

変なことを言わなければ、いいけど。

会うのが憂鬱になってきたな」

と独り言をつぶやいていた。


馬車はそんな九之池の気持ちを知ってか知らずか、

軽快に走っていた。


半分しか理解していない模様

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