20.復活の刻
復活の九之池さん!
ルージェナが黒玉の話をしていると、
突然、エドゥアールさんにも食べて
貰おうと主張した。
そして、大声でエドゥアールを呼んだ。
「ルージェナ、さすがに声が大きすぎる」
と言いながら、部屋に入ってきた。
「ん?お前もいたのか、何をしているんだ?」
と冷たく言い放った。
「エドゥアールさん、これ!食べてみてください」
と黒玉をルージェナは勧めた。
そして、真剣な眼差しで、エドゥアールを見つめた。
「これは、外皮を食べるのであって、中身は、うーん」
エドゥアールはヘーグマンに言われた視野を
広げる件を思い出し、一口、口に含んでみた。
「むっ、、、これは」
と言って、上品にしゃくしゃくと食べた。
その横で、九之池が無言で、
食らいついて、種を吐き出した。
そして、一言、うまいっ!と言った。
「ルージェナ、九之池のように
食べるのが正しいのか?」
とエドゥアールは尋ねた。
「その方がよりおいしいかと」
とにこやかに答えた。
エドゥアールは意を決して、
がぶりと食べた。
「くうぅぅ、上手い」
と言って、ベッと種を吐いた。
そして無言で食べ終わるまで繰り返した。
「ルージェナ、このような食べ方、
よく知っていたな。これは称賛に価する」
と言った。
「これは九之池さんが、今日、教えてくれました」
「えっ、九之池が!」
と言って、前言を取り消すのも
大人げないと思ったのか、
「九之池にしてはやるな。
だが、それで、先ほどの件が
許されたわけじゃないぞ!」
と言って、部屋を足早に出て行った。
嬉しそうにルージェナは
「九之池さん、もう一つ食べてしまいましたが、
ヘーグマンさんのは、どうするんですか?」
と尋ねた。
「あっ、忘れてました。どうしよう?」
九之池は相変わらず、質問に質問で答えていた。
そんな九之池を見て、ルージェナは笑いながら、
「秘密にしておきましょう。
エドゥアールさんは、進んで話すとは
思えませんし、黙っていると思いまよ」
と言った。
九之池は久しぶりに晴れやかな気分になれた。
大したことなかった、、、




