13.戦利品
お宝ゲットー
九之池は、呆然と周囲の惨状を眺めていた。
「九之池さん、終わりましたよ。
一匹、瀕死の魔獣がいますが、
どうします?放置します?」
とルージェナが尋ねた。
「あっうん、苦しまずに息の根を止めましょう。
そうしましょう。どうします?」
と九之池はまだ、思考が回復せずに質問に質問で返した。
そんな九之池を見て、無言で魔獣に近づき、
サクッとエドゥアールが息の根を止めた。
魔獣より血が流れだし、すぐに動かなくなった。
「九之池、訓練が足りなかったか?
もう一度、どこかの監獄に行くか?」
と魔獣を刺したナイフを拭きながら言った。
「ひっ、無理です。がんばりますから、
それだけはご容赦ください。お願います」
と必死に懇願した。
「はぁ、なんで私がこんなのに付き添う羽目に。
ルージェナ、多分、群れの子供がいるはずだが、
そいつらは明日にでも狩るのか?」
と九之池を相手にせず、ルージェナに尋ねた。
「うーん、どうでしょう。ほっといても餓死するかと。
それにそれは、九之池さんと村長の話し合い次第では?」
ルージェナはあくまでも九之池を
リーダーとして、たてていた。
「うっうん、それじゃ、村に戻りましょうか?」
と九之池が言うと、ルージェナが
「九之池さん、この魔獣は、
それほどめずらくありませんが、
一応、毛皮や牙、爪、それと確か肝が売れますよ。
あまり詳しくはありませんが、
捌き方も多分、わかります」
と言った。
「えっじゃあ、やろう」
と言って、ナイフ片手にルージェナの傍に寄った。
「このバカがぁ、血の臭いに誘われて、
獣や他の魔獣が寄ってくるだろうが。
しかも夜だぞ。村に戻るぞ」
とエドゥアールが怒り出した。
「この付近には多分、これより強い魔獣は
多分、いませんよ。
ここで捌いて持ち帰るようにします。
戻るなら、お先にどうぞ」
と冷たくルージェナがあしらった。
「ルーたん、いいところの出なのに
なぜそんなに詳しいの?」
素朴な疑問を九之池が言った。
「それは、従軍したときに教えてもらいました。
炎の使い手は戦争ではそこそこに重宝されますので。
それにまあ、耳学問ですので、上手くできるかどうか」
二人は魔獣の傍で売れそうな部位を捌き始めた。
エドゥアールはいらっとしながらも作業を
早く終わらせたいためか、別の魔獣を捌き始めた。
3匹は欠損がひどく、4匹は売れそうな部位を
剥ぎ取ることが出来た。
結構な荷物を担いで歩いたためか、
村に着いたのは、11刻の中頃だった。
九之池は、身体を拭き、寝床につくと、
泥のように眠ってしまった。
まあ、二束三文ですね




