12.殲滅作戦
先ずは、雑魚狩り!
村に到着すると、まず、二人は、
依頼主の村長に会った。
村長は、会うと、挨拶もそこそこに
事情を話し始めた。
どうやら、狩人が村を空けているらしく、
魔獣が近くに出没するようになったようだ。
家畜に被害が出ているようだが、出没するのは、
小型の狼や野犬といった類に近い魔獣らしかった。
「わかりました。頻繁に出没する場所を
教えてください。殲滅します」
とルージェナが言った。
村長は九之池とルージェナを見て、
その能力に懐疑的であったが、ギルドの
斡旋ということで、自分を納得させ、
最低限のことを依頼した。
「では、よろしくお願いします。
しばらく魔獣がうろつかなくなる程度で、
十分ですので」
と村長は言った。
九之池は、このようなことをするは初めてで、
何をしていいのか全く分からず、
ルージェナの後ろについて行くだけだった。
「九之池さん、武器は棍棒だけですね。
ならば、私がもし、倒し漏らして、接近してきたら、
きっちりとやっちゃってください」
と淡々と説明をするルージェナ。
九之池は、ただただ、頷くだけだった。
長剣と弓を装備しているエドゥアールは、
そんな様子を見て、呟いた。
「なんと情けない男だ」
魔獣がよく目撃される地点付近に到着すると、
まず、匂いで悟られないように少し離れた場所から、
草木を集めて、自分たちの周りを囲んだ。
そして、深夜付近まで、ひたすら、魔獣を
待つ作業を続けた。
この世界で言う9刻ごろであろうか、
彼らの先に見える草木が不規則に
揺れているようだった。
九之池は、その方向に目を向けて、
ごくりと唾を飲み込み、棍棒を握り直した。
ルージェナは、左耳に付けていた耳飾りを
いつの間に右腕で握り、その腕を不規則に
揺れている茂みの方に向けた。
風はないが、かさりかさりと草木の擦りあう音が
少しずつ大きくなってきた。
そして、いくつかの魔獣の目が
暗闇の中で光って見えた。
九之池は、緊張で脂汗をびっしょりとかいていた。
そして、魔獣の眼に彼は捕らえられた。
魔獣は九之池を脅威と感じず、
捕食のための鼓動に移った。
数は、7匹、報告されていた数より倍近かった。
魔獣が咆哮し、九之池に向かって、
恐ろしい速度で近づいて来た。
残り10m付近に魔獣が近づくも九之池は
全く動かなかった。否、動けなかった。
緊張の極致で身体が固まっていた。
残り5mになった瞬間、2匹の魔獣の眉間と
右目を弓矢が貫いた。
一匹は即死し、もう一匹は、その場で
のたうち回っていた。
残りの五匹の中心付近で、次の瞬間、爆発が起こった。
魔獣は吹き飛ばされ、木々にぶつかり、そのまま、
ぴくりとも動かなかった。
九之池はぽかーんとした表情のまま、
その場に留まっていた。
九之池さん、ぽけー




