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2.拷問開始

いじめかっ!

名前、年齢、得意とすること、

生活をしていた世界の事に関して、

九之池は答えていた。

多くの質問に答えつつもこの雰囲気と状況から、

九之池は、就職氷河期の新卒就職活動を

思い出していた。


56社目にして、最終面接のことだった。

九之池が最終面接まで残るくらいだったから、

その会社の質も推して知るべしだった。

そこでの圧迫面接に九之池は朦朧としてしまい、

堪え切れず、応接室で吐瀉してしまった。


 20年以上も前のことであっても

思い出す度に大量の脂汗をかいて、

朦朧として、意識を失う九之池だった。


「ぐううっ」

意識を失わず、続くこの悪夢に

将浩は野獣のような唸り声を上げた。



「シリア卿、そろそろ、中断したほうが

良いのでは?

先ほどから、人ならざる唸り声を

出しているような気が」

とサンドリーヌ卿が問うた。


「くくっ、この男を抑圧している

何かがはちきれるまで、やりましょう。

面白いことになるかもしれませんし、

得られる情報は多くに越したことはないでしょう」


この状況が更に1時間ほど続くと、

九之池の身体が震えだし、

声はおぞましい絶叫となりはて、

人の言葉を発することはなくなっていた。


「あと少しだ。狂うか、それとも、、、」

ぶつぶとシリア卿が呟く横で、

サンドリーヌ卿が非常に

不安げに九之池を観察していた。


突然、九之池が咆哮した。

そして、首にかけられていた

封環の首輪が粉々に砕け散った。

身体の体毛が濃くなり、

皮膚が赤銅色に変わり、額の両側に

角が生えはじめていた。


「成功ですね。彼が言っていた

封印された先祖返りの力が開放されましたよ。

我々は、強力な戦力を得ることが

出来ました!」

興奮して話すシリア卿に対して、

他の面々は、九之池の変化と

そこから醸し出される雰囲気に震えていた。


「シリア卿!封環の首輪が、

アレをどのように制御するんですか!無理だ」

と悲鳴を上げて、サンドリーヌ卿が叫んでいた。


理性を感じさせぬ黒い目が

サンドリーヌ卿を睨み付ける。

サンドリーヌ卿は「ひっ」と一言、

漏らすと、その場にへたり込んでしまった。


「心配ご無用」

短くシリア卿が言い、魔晶を10個ほど

床にばらまき、何かしらの魔術を

九之池に向かって唱えた。


「キサマラハ、アノクツジョクメンセツ

イジョウニシッテハナラヌコトヲシッタ。

シネ」

ゆっくりと九之池が彼らに向かって、

2,3歩と歩き出した後、ふにゃふにゃと床に倒れた。


ふぅとシリア卿はため息をつくと、

「この男、元来が意思薄弱そうだったので、

精神系の魔術が効きやすいかと。

まあ、予想どおりでしたね。

あまり、お薦めな案ではありませんが、

アンカシオン教の教会で隷属の縛りをこの男に

唱えて貰いますか」


「シリア卿、頼む。迅速に対応をしてくれ。

大公には私から事の次第を伝えておく」

と言って、部下に抱えられて、部屋を後にした。


シリア卿は、そんな様子を見て、にやりとした。


強き能力開放っ!

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