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2.森の獣外伝 メープル司祭の奮闘記。ああっ、早く帰りたい。メープル合体

メープルさん、危うし!

 二日後、メープルはアンカシオン教本部の

最深部に位置する部屋にデリアといた。


「ルナリオン様、ここは一体?」

禍々しい雰囲気を醸し出す武具もあれば、

毒々しい艶を出す防具あり。

祝福されし聖武具と真逆の呪われし武具の

集まりのようだった。


「まあ、そう急くな。

ここは単なるがらくた置き場だよ。

呪いとかそうった類のものはない。

それより、これだこれ!」

デリアは目的のものを発見したようだった。

それは、等身大の人型木造人形であった。

ただし、右腕、左脚が銀色で、

銀の持つ鈍い光沢がなく、

松明の照り返しが燦然と輝き、

逆にメープルは禍々しさを感じた。


「まあ、昔、老公の技能集団にいたことがあってだな、

これは、その時、開発したものだよ。

開発にかかる費用が膨大で一騎のみで、中断したがな。

とある刻印がされていて、欠損部に繋げると、

動かせるようになる。

なかでも、祈りとの相性がよく

伝導率が良くなるらしい。

私がしかるべき人物に使ってくれと

老公から譲られたのさ」

とデリアが説明した。

等身大の人型人形として保存されているのは、

どうやらデリアの趣向らしかった。


「これは金属なのでしょうか?」

メープルは、人形を見ながら、尋ねた。


「軽銀とかいっていたが、それにいくつかの

素材を混ぜ合わせたものらしい、1000番台が

どうこうと老公とノルドが話していたよ。

私にわかるのは、アンカシオン教の祈りと

相性が良いことと、ここに託すに

値する人物がいることさ。」


「へっ?」

メープルは、銀色の右腕を眺めて、後ずさりした。


「メープル、装着してみないか。

召喚者、稲生の力になりたいのであろう。

今のままでは、それはなかなかに難しいであろう。

この右腕は、奇跡の力を秘めている」


普段のデリアから想像もつかないほど、

キラッキラッした目で何かに憑かれたような

雰囲気を醸し出していた。


「ううっ、しかし、このような禍々しいもの、

本当に大丈夫なのでしょうか?

どなたかの装着の実績があるのでしょうか?」

後ずさりながら、メープルが問うた。


「実績はあるさ。大丈夫。大丈夫。

それに稲生様のためになるでしょう」

デリアの目が泳いでいた。

人形から右腕を取り外し、メープルに

近づいて来る。


後ずさりするメープルは何かに躓き、

その場に倒れた。


「ううっ、本当に大丈夫なんでしょうか?」

メープルは逃げられぬと悟り、

最後にもう一度、尋ねた。


「ああ、大丈夫、大丈夫、何度も聞くなよ。

メープル、君が栄えある私の最初の第一号になる。

これでまた、老公の開発の成果を

目の当たりに出来るぅー」

デリアは嬉しそうに祈りをその右腕に込めると、

更に輝きが増し、根元部分の樹脂らしきものが

溶解していた。


メープルの右肩から、強引に服を裂き、

その失った部分に取り付けた。


メープルは焼き付くような激しい痛みを感じ、

絶叫し、意識を失った。










合体はロマン!

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