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37.パーティ結成

稲生さん、困った事態に

「みなさん、不合格です。

討伐への戦闘参加は辞退して頂きます」

リンが練兵場に現れたのを確認すると、

慌てて稲生は、声を大にして、彼らに答えた。


「おはよう、稲生。結論は聞こえたよ。

ありがとう、きちっと答えてくれて。

みんなもこの結論を受け入れてくれるだろうよ」

リンはほっとして、稲生に微笑んでいた。

多分、彼女は、彼らを危険に晒したくないのだろう。


メリアムが邪悪な微笑みを稲生に向けながら、

全員を代表するかのように答えた。

「ふっふっふっ、リンよ、試験の過程は見てまいよ。

稲生は、正規の軍へ組み込んでの参加はさせまいが、

何らかの形で討伐隊に我々を加えるだろうよ。

なあ、稲生、そうであろう」

稲生は、メリアムにたじろくも、

リンの思いも理解できるため、言葉に詰まってしまった。


「すみません、ノーブルと打ち合わせが

ありますんで、先ほどの言葉をもって、

回答といたします。では」

そくささとこの場を逃げ出そうしたが、

寡黙な神官戦士にがっちりと腕を掴まれて、

どうにもならなかった。


「皆さんが尋常ならざる方々であるのは、

十分に先ほどの模擬戦でわかりましたが、

やはり、獣と戦えば、傷つき、倒れます。

それを私もリンも受け入れがたいのです。

お願いします、察してください」


「稲生、ノーブルは荷役とはいえ、

危険な場所に行くのだろう。それは良いのか」

とノルドが低い声で話す。

稲生が答えられずにいると、メープルが提案した。

「では我々も荷役として、雇っていただきましょう。

そうすれば、討伐に向かえますね。

獣と対峙したら、そうですね、逃げ遅れて、

討伐に参加せざるを得ないということで

どうでしょうか?」


いつのタイミングからか観戦していたドリアムが、

突然、声をかけてきた。

「それは、良案ですね。

稲生様には、荷役として5名まで従者を討伐に

引き連れて行くことが許可されていますので」

稲生は、いらざることをとドリアムへ

心の中で毒づくが、良い案が思い浮かばず、

リンに助けを求める視線を送った。


リンは、この場の雰囲気から、

稲生が試験で彼らにこてんぱんに

叩きのめされたと感じ、どう答えていいものか

途方に暮れていた。


そうしているうち、部外者のドリアムが

「みなさんの実力は決して、マイナスにはなりません。

稲生様の従者として、将軍にご報告しておきます」

と勝手に話を進めてしまった。


「はあ、よろしくお願いします」

稲生が要領を得ない返事をした。


「稲生、リン、良いのだ。

我々は、老公亡き後、獣への復讐と共にあったのだ。

多分、これが最後の機会であろう。

これ以上、召喚者や強者が喰われたら、

数人の将軍で討伐したとしても手に負えないだろう」

とノルドが稲生とリンへ伝えた。


「召喚者様に仕えるは、我らが使命。

稲生様、我らが命、気になさるな」

ドルグが、そう伝えてきた。

彼らの強烈な意思は伝わってきたが、

命を懸けて、物事にあったことなどない稲生は、

その思いに圧倒されて、こくこくと

うなずくのみであった。


リンは、諦めたのか、7刻の時に執務室にて

行軍の日程について説明すると言い残し、去った。


一旦、解散となり、稲生はノーブルに

会いに行くため、中央広場に向かった。


あららっ!

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