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34.作戦会議

獣討伐近し!

「さて、これから、獣討伐の最終確認を行う」

とエイヤが会議の進行を担った。

デートの次の日の朝から、最終の会議が始まった。

ほぼ、今までの決定事項の確認であるが、

これが終われば、後は予定された日に

森へ向かうだけだった。


エイヤは、続けて、日程・人員に関して、

話を続けた。

「明後日の4刻にここより出発。

人員は、我々とリン、王都より派遣された

1000名のうち30名を選抜、更に傭兵20名、

案内人5名、そして、稲生。

ドリアムは守備隊を率いて、街への魔物、

魔獣の襲来に備えること。

また、ドリアムの貴下へ町の守備のため、

王都より派遣した兵500名を配備する。

輜重に関しては、事務官の計画を

もってあたることとする。

残りの470名は、予備兵として、

ハルバーンにて待機とする」


エイヤは本来、部下よりこの報告を受ける

側のはずだが、彼が伝えることに誰も

違和感がなかった。


リンは、まだ、眠いのか、

眠たげな目を擦りながら、エイヤの発言を聞いていた。


エイヤは、話を切り、じろりとリンを

睨み付けて、言った。

「ヤンデルフォン卿、随分と余裕ですな。

討伐に失敗しているのに昨日は、

ずいぶんと男とお楽しみでしたかな。

お盛んなことは、否定しませぬが、

時期を考えた方がよろしいかと」

稲生は、思った。

この男のいる会議で寝ようものなら、

半殺しの目にあうな。

そしてリンの切り返し次第では、

大変なことになるなと感じた。


「これは、シン将軍らしからぬ発言。

男とのお楽しみとは、一体何のことか

わかりかねますが、まあ、そのようなことに

目くじらをたてようとは、余裕のなき事。

将軍職たる方にはもっと余裕を

もって頂きたいものですね」

寝ぼけまなこのことには一切、触れずに

胸元の青石を触りながら、皮肉で返すリン。


二言三言、二人の間で舌戦が繰り返され、

エイヤが何かを言おうとすると、

がははっと大笑いする声が聞こえてきた。

「ゲルト将軍、何か?」

発言の腰を折られて、エイヤがぶっきらぼうに尋ねた。


「エイヤ、もう良かろう。

我らが余裕なきと思われると指揮に関わる。

それとリン、遊ぶなとは言わぬが、

遊びが過ぎるのは良からぬ。

おぬしも含め、我々は部下の範と

成らねばならぬ、良いな」

二人はお互いに不満げであるが、

軽く頭を下げあい、沈黙する。


ワイルドの発言後、しばしの沈黙が場を支配した。


稲生は、この沈黙に耐えきれずに、

何となく発言をしてしまった。

「すみません、個人的に一名、荷役として、

連れて行きたいのですが、よろしいでしょうか?

それと、メープル司祭をはじめとする

バルザース帝国の傭兵は、どうするのでしょうか?」


エイヤは、

「稲生個人の荷役なら、連れてもよい。

バルザース帝国の面々は、連れて行かぬ。

役に立たぬからな。

もし、稲生、貴様にその打診があるなら、

貴様、個人の荷役という立場で連れていけ。

人数は、多くとも5名までは認めるとしよう。

ただし、討伐時の配置は、貴様の側だ」

とエイヤは説明した。


稲生は、なるほどねと感心した。

稲生の側限定ということは、つまり、獣の囮、

餌の扱いで、死亡する可能性が高い。

そのうえ、獣の恐怖を十分に刷り込まれた彼らが

討伐に参加するとは考えにくいと判断したのだろう。


「森では、稲生を先頭に正門より直進する。

兵は、半円状に稲生を囲むようにする。

散開する距離は、稲生を目視で失わない程度とする。

会敵した際には、稲生の生死は問わぬ。

矢で牽制しつつ、距離を縮め、我らの神象兵器で討つ。

できれば、私が先行で止めをゲルト将軍で行う」

エイヤは、事務的に読み上げて、伝える。


リンも先ほどの舌戦と違い、真剣な面持ちで聴いている。

基本、ザルツが行った戦術と同じで、

獣を召喚者でおびき出し、己の一撃で仕留める。


召喚者は、獣の囮か餌であることは変りなかった。

囮の死亡する確率は非常に高い。

獣の思い通りにも、こいつらの思惑通りにも

なってたまるか、稲生は、絶対に生きてやると

強く心に誓った。


もふもふする前に食べられそう!

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