表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/274

3.昆虫食は標準か?

フォルムがー

「ぐうぅぅーぶぅぅー」

お腹から盛大に音がなった。

しかし、目の前に置かれた木の皿に

盛られた料理を口に運べない。


「んん?どうした?痛みで、

手を動かすのが難しいのか?

まあ、今回は、私が食べさせてあげよう。

なかなかに美味く出来上がってるぞ」

料理を運んできた先ほどの人物が

木のスプーンらしきもので、すくって、

口に運んできた。

覚悟を決めて、紫色の液体に

含まれる米ぽいものと大量の昆虫ぽいものと

幼虫ぽいものを噛み込む。


「ぐっぐううう」

と唸ってしまったが、塩味が効いており、悪くない。

それどころか、あの幼虫のフォルムさえ

気にならなければ美味い。

食に関しては、何とかなりそうと判断し、

二口三口と食べさせて貰う。

ふと、紺のフードの人物のほうに向けると、

その人物は、なかなかに美しい女性だった。

「ほっ、料理を振舞うのは、何年振りかだったので、

ちょっと不安だったが、杞憂のようだったな。

今回は、体力回復のために貴重な昆虫類を

ふんだんに使ったが、普段はあまり使えないから、

あまり期待しないように。

後程、守備隊長殿が色々と話に来ると思う。

睡眠をとるなら、それからにするように」

美味しく幼虫を食べているように感じたのか、

そんなことを言うと、空になった皿を持って

部屋を出て行った。


「昆虫は高級食材なのか」 

いくつかの疑問は、詳細は別として、

なんとか答えを得られた気がした。

残りは、文字についてと森で見た獣。

より詳しく色々と知ることで、ここでの

自分の立ち位置を確認できるはず。


 守備隊長控室にて。

直立不動にて、紺のフードを着た女性が、

目の前の椅子に腰かけている壮年の男性に話しかける。

「報告。召喚者は動けませんが、現在、起きています。

意識の混濁や混乱はなく、意思の疎通は

可能な状態にあります」


「よろしい!後程、君と俺で面会しよう。

ところで彼は、先ほど、君が作った

なんというか魔術を付与された料理を

残らず食べ切ったのかな?」


不可解な質問であったが、

「質問の意図が解りかねますが。

先ほどの料理に魔術的要素はございません。

体力の回復を早めるよう栄養価の高い食材を

使っただけです」

と答えた。


壮年の男性は何とも言えぬ表情をした。

そして、しばしの沈黙が二人の間を支配した。

「料理はさておき、まあ、研究所の所見は

正しかったようだな。

あの獣は、召喚者を狙っているな。

いつまでもここにいる訳にはいかぬ。

早々にあの召喚者を囮にして、獣を呼び寄せるとするか。

確実にあの召喚者に異能はないのだな?」

国柱たる将軍職に連なり、神の力を模すると

称される神象兵器の担い手の一人、

ザルツは、更に続ける。

「傭兵と冒険者をできるだけ集めろ。

奴らも獣の噂は聞いているはずだ。

報酬をはずめ。

それで、街の守備兵の損耗を抑えられるなら、

安いものだ。

次は、俺が最初から前面に出て、殺す。

君は魔術攻撃せず、補助魔術を使用しろ」


「あの召喚者には特に異能はございません。

以前、申し上げた通り、失っても問題に

なることはございません。

傭兵はギルドより斡旋させて、人数を集めます。

あの獣の怪我の具合からすると、あと2、3日後には

動けるようになっているかと」

ザルツは一瞬、その言葉に驚いたが、更に会話を続けた。

「その回復力だと、奴が逃げられぬように囲み、

俺が仕留めるしかないな」


突然、ドアが凄まじい勢いで開けれ、

一人の兵士が駆け込んできた。

「報告。正門から森より現れた妖魔、

妖獣の類の侵入を許しました。侵入した数は不明。

現在、守備隊及び冒険者等が

対応にあたっています」

ザルツは無言で立ち上がり、戦いの準備を始めた。


無理っす

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ