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24. 旅行2(稲生)

稲生さん、絡まれる!

図らずもリンとハルバーンまで乗合馬車で

向かうことになり、荷車の中の雰囲気は

最悪の状態になっていた。

それは稲生とリンが身を寄せ合い

バカップルのようにいちゃくつからであった。

稲生としてはリンを突き放す訳にもいかず、

冷たい視線に耐えるしかなかった。


街道沿いの小さな町でついに我慢の限界を

迎えた乗客に稲生は絡まれることになった。


「おいおい、お前、ふざけんなよ」


「いい女、侍らせて、良い気になんなよ」


幾人かの男どもが稲生を囲み、凄んだ。

生臭い息が稲生の鼻にかかる位に男どもは近づいていた。

稲生も彼らの苛ついている気分の理由が理解でき、

咄嗟に言い返すことができなかった。


「いやあの妻がすみません」


「はああ?嫁だと。くっそうらやま。

いや違う違う。くそなんだよ、それ」


「べたべたしやがって、新婚かよ。むかつく」


「あーあんな時もあったなぁ」


「いえ、新婚ではありませんし、

二児の母ですよ、彼女は」

努めて冷静に対処する稲生だった。

稲生から小見出しにされる情報で、

何故か男どもは稲生より離れ、

当初の勢いがなくなり、

遠い目をするようになっていた。

稲生の説明で毒気を抜かれたような気分に男共は、

なっていた。そして、どうでも良くなったのか、

消化不良のままに稲生より離れていった。


宿に戻った稲生は、リンを食事に誘った。

そういえば二人きりで食事を取ることなど

長くなかったと稲生は思い返していた。

 リンは嬉しそうに頷いて、椅子から立ち上がった。

それにしても子供が心配にならないのだろうかと

稲生は自分の事を棚に上げて考えていた。


「ねえ、稲生」

食事中にリンが稲生に話しかけてきた。


「どうしたんだい、リン」


「うん、いい加減、因縁というか老公に関わることに

終止符を打つわ。そうしたら、家族で暮らせるよね」

普段、勝気なリンの表情が不安そうに稲生に見えた。


「当たり前です。さっさと済ませて、

みんなで暮らしましょう。

だらだらと不安を感じながら、

過ごすのは心の安寧になりませんから」


「うん、そうだね。そしたら、メリアムさんも

あの薬屋を再開するのかな。

あそこだと、あまり繁盛しなさそうだけどね」


稲生はくすりと笑った。

「まあ、長くあそこで営業していたから、

大丈夫だと思います。

ただし、リン、お金の融通をされないように

気を付けて下さいね」


「ないない。といかうちにはそんな余裕ないでしょ」

リンもくすりと笑った。


稲生はリンの手を取り、宿の部屋に2人戻った。


 稲生とリンは、ハルバーンを経由して

大森林の薬師の店を訪れていた。


店は人の住んでいるような雰囲気がなかった。


「稲生、鍵を開けるよー」

リンが魔術により開錠をした。


ドアを開けると室内からかび臭い臭いが漂って来た。

「これは、随分と店に戻って来ていない様です。

それにどうも臭いですね」

稲生が鼻をつまんだ。


どの作品を優先するか悩み中。


希望があれば、感想欄にコメントよろ。

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