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12. 領地に行こう1(九之池)

九之池さん出番です!

九之池は、震えていた。


事あるごとにヴァレリーが九之池を叱責した。

それが九之池は恐ろしかった。

そして、九之池自身から使用人、ルージェナに指示を

出すことをヴァレリーが強要するからであった。

 今まで適当にやり過ごし、人から指示されることには

慣れていたが、人に指示を出すことに

慣れていない九之池にはこれが苦痛であった。


屋敷を構えて、今までに集めた素材を

保管する場所が確保できたことは嬉しかったが、

どうにも四六時中、さまざまな指示を出すのが

億劫であった。

 ルージェナともあまり話す機会が出来ない程、

執務室に拘束されていた。

そして、その部屋にはヴァレリーが常におり、

領地運営に必要な決済に関して、アレコレと

九之池へ指示、叱責をしていた。


「心が休まらない、誰か助けて」

決済書に印を押しながら、本音がついつい、

漏れてしまった九之池だった。


「この程度で根を挙げられては困ります。

旧ダルフォンソ家の領地は、バルザースと

レズェエフに隣接する重要な地。

そのような性根では困ります」

笑いもせず怒りもせず、淡々とピシりと

九之池を叱責するヴァレリーであった。


九之池は、この牢獄から逃げ出す方策を

必死に考えていた。

と言っても大した知識も経験もなく、

縋るのはアニメやラノベ文庫のストーリーだった。


そうだ、領地の視察に行こう。


主人公が僻地の領地に戻って改革をするというのは、

よくある話だ。そうすれば、この牢獄から抜け出せる。

そう思い、ヴァレリーに提案した。

無論、領地に詳しいルージェナが同伴する

条件を付け加えた。


「それは大変よろしい案ですね。

夫婦共々新しい領主であることを領民に

示さねばなりません。向かいましょう。

その間の事務は私が連れて来た者たちで

代行させます」


九之池は首を傾げていた。

いつの間にかヴァレリーと向かう事になっていた。

てきぱきと旅程を組み、話を進めるヴァレリーに臆して、

何も言えない九之池であった。


「今回だけは、大目にみます。

愛人を堂々と同伴させるなど、

今後、口にするようなら、ただでは済ましませぬ。

良いですか、愛人を囲うことを否定しませんが、

堂々とされると、それは貴族の嗜みとは言えません。

今後は言動に気を付けて貰わないと困ります」

彼女の言葉に棘があり、その表情は侮蔑しきっていたが、

取り敢えず、九之池を気遣っているようでもあり、

九之池はどう反応してよいか分からずに曖昧にへらついた。


「その表情を改めなさい!

国政の中心を担う侯爵の爵位のある者の

すべき表情ではありません」


九之池はヴァレリーのきつい物言いに

委縮してしまった。

ヴァレリーの逆鱗に触れぬように

こそこそと執務室をうろうろしだした。

それが余計にヴァレリーを苛つかせていることに

理解の及ばない九之池であった。



地位は人を成長、、、、させるのかな?例外はいるよね

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