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11. チンピラ始末(才籐)

圧倒的な恐怖体験

「うるせえぞ、カスがぁ」

扉が勢いよく開いた。

そして、チンピラはドアに激しくぶつかり、

痛みで地面を転げ回っていた。

先ほどのチンピラたちとは

明らかに違う雰囲気の男どもが扉から、現れた。


「おいおい、下っ端ってのは、

お使いもまともにできないのかよ」


「ったく面倒事を増やしやがって、

見せしめに殺すか」


「おまいら、よく見ろ。あの上玉を。

あれはご子息が所望してやまない姫様だろうが、

目をよーく開いて見てみろ」


反応は二通りであった。

メープルをいやらしい目で見ている輩と

納得の表情で頷いている輩であった。


「まったくいまだにロジェール家は

私に興味があるのですか?

いい加減にしてほしいのですが」

メープルがため息をついた。


「ご子息はあんたに用があるようだが、

現当主様は、あんたというより

あんたの生家にいまだにご執心のようだな。

それはいいとして、俺たちとしては、大人しく一緒に

ロジェール家を訪問して貰えると助かるのだが」


彼等にとって可能な限り丁寧に

話しているつもりだろうが、

剣をちらつかせたり、槍を振り回したりと

傍から見れば、脅している様にしか見えなかった。


「ロジェール家はいまだに礼節を

知らぬということですね。

よろしい、才籐、イラーリオ殿、

この連中の性根を叩きのめしなさい」


メープルがぷんすかしている。

才籐は事情が掴めず、どうしたものかと首を傾げていた。


「おいおい、旦那、しっかりしてくれ!

姫様からの命令、痛っ。

いや、司祭からの指示だぞ」


メープルに右腿をどつかれたイラーリオが

患部を擦っていた。

戦う前からダメージを負うイラーリオだった。


「ったくバリオスに到着してから、

司祭ののりが女王様だよな、ぐはっ。

すみません、ただちに叩きのめします」


メープルに左腕をどつかれた才籐が

患部を擦っていた。

戦う前からダメージを負う才籐だった。


「おいおい、この人数と面子相手にやろうってのかよ。

姫さんよ、ここにはおたくの親衛隊はいないんだよな」


「姫様を残して、そこの二人は殺しちまえ」


「安い言葉だな、殺すか。

貴様らにその覚悟があるのか」

イラーリオが応じると大剣を引き抜き、

二振り、三振りして構えた。

先ほどのダメージを全く感じさせない動作であった。


「ったく人相手にやんなるな。

お互いに冷静になりたいものだ」

才籐が応じると剣をひき抜き、

ぎこちない動作で構えた。

先ほどのダメージが左腕に残っているような動作であった。


才籐とイラーリオが剣を構えた瞬間、

シュルシュルと日の光を反射させながら、

光銀の鞭が蠢きながら、チンピラたちに襲いかかった。


「なんじゃ、これは」


「魔術か。どこにいる。探せ」


「ぐぴぃー」


各々、経験したこともない異常な状況に各々、

叫ぶが、叫んだところで事態は好転せず、

才籐とイラーリオに捕縛されてしまった。


「さてと、この中でロジェール伯爵家に

連なる者を知っているのは誰?」

メープルが先程、蠢いていた右腕を

これ見よがしに捕縛された連中の前で動かしていた。

反射する光が眩しいのか、

それとも余程、右腕が気味悪いのか、

彼等は右腕が近づくと必死に目を閉じていた。


雇い主を売らないだけの裏稼業の常識が

彼等にはあるようだった。

しかし、そのためにかれらは

これから酷い目に遭うことにになった。


「司祭、旦那、暫くぼろ小屋の中で待ってな。

拷問は苦手だろう。

さっさと、用事を済ませてから、

いい加減、酒でも喰らいたいだよな」


メープルと才籐はこのままでは埒が明かないと思い、

イラーリオに任せることにした。


数十分の間、小屋から嗚咽や悲鳴が鳴り響いた。

そして、鳴りやむと、イラーリオが出て来た。

「さてと、司祭、旦那、こいつらが

バリオス領ロジェール伯爵家の邸宅に

ご招待してくれるとのことだ。どうする?」


「では、向かいましょう」

イラーリオの前に転がされている二人の男には

目もくれずに司祭が賛同した。


才籐は、震える二人がまともに案内を

できるか不安であったが、頷いた。


蛇の様に蠢く右手、、、才籐さん、何もしてない

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