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10. 到着2(才籐)

チンピラと対決!

「ふううぅ、才籐、世間には

こういったよくわからない輩がいるのです。

今後、立ち振る舞いには、気を付ける様に」


「へいへい、了解しました。

で、こいつら、どうするつもり?」


才籐の受け答えに柳眉を逆立てた

メープルであった。

しかし、発する言葉は、怒気など含まず、

いたって普通であった。

「この方たちには、何か目的があるのでしょう。

それを伺った後に然るべき措置をとります。

イラーリオ殿、お手数ですがよろしくお願いします」


イラーリオは、大きな欠伸をすると

大剣を片手で大きく弧を描くように

振り回して、才籐に放り投げた。

「まっ、殺す訳にもいかないだろうし、

素手でしめますかね。旦那、大剣をよろしく」


イラーリオの体躯と今しがた見た膂力に

彼らは怯んでいた。


「お前は関係ないだろう、向こう行っとけ」


「邪魔なんだよ」


怯んでいたが、遠巻きに見られていることもあり、

弱みを見せる訳にもいかず、吠えるチンピラたちであった。


体躯に似合わない速度でチンピラたちとの

間合いを詰めると、二人ほどイラーリオの

一撃で昏倒した。

そして、呻き声を発しながら、

転げ回っていた。


「ふううぅ、素直に絡んだ理由を話せば、

ここまでで終わり。それともやる?」

イラーリオのにやりと笑う表情が

チンピラたちには地獄の獄卒のように見えた。

当然、やる気など、一瞬で失せていた。

何も話さずに立ち尽くすままであった。

更に一人、腹部に強烈な蹴りを喰らって、

その場で地面に這いつくばった。


「いや、一応、俺らはあれだ。

伯爵付きの親衛隊だぞ。あまり、詮索しな」

言い終える前にまた一人、地面に倒れていた。


「すっすみませんー。

伯爵のご子息たっての希望で、

そちらのお嬢様をお屋敷に

お迎えしようかと算段いたしました」

震えながら口々に答えるチンピラたちであった。


「おーう、この地域では、罪なき旅人に

強権を振り回す訳ね。

さて、どうしたもんかな、司祭様よう」


メープルは豊かな胸の前で両腕を組み、

人差し指を立てた。

「案内人を一名だけ残して、

他の方々には退出して頂きましょう」


追加で四人ほど地面を転げまわる男が増えた。

一人残された男は、ガタガタと震えていた。

「おっお前ら、伯爵に盾突いて、

どうなっても知らねえ」


「まあ、そう言うのは、いらないので、

依頼主のところに案内してください」

まるで相手の物言いを気にせずに

飄々とこたえるメープルであった。


事の成り行きに呆然とする才籐はぽつりと一言。

「まじかよ」


3人は、チンピラの1人を締め上げて、

依頼主の伯爵家に連なる者のところへ案内させた。

 

街の市街地よりかなり外れた場所の

ぼろ小屋に到着するとチンピラは、突然、

走り出した。

3人は特に止めることもなく、

したいようにさせておいた。


「助けてくれー。ロジェール伯爵に

盾突く不穏分子に追われている」

ぼろ小屋のドアを激しく叩くチンピラだった。


荒事なら、イラーリオさん!

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