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5. 帰宅(稲生)

久々の王朝!

 王都キリア、キリア聖王朝樹立時から

変わらぬ中心地であり、アンカシオン教の

総本部ある都市。


多くの国の勃興に関わり、

大森林からの魔神や魔人の侵攻の際に

最初の防壁となる国であった。

最も現在では、ほとんどそれらの存在が

確認されず、時節、発生する魔獣や魔物の

大発生時の侵攻の撃退が主となっていた。


森の恵みの恩恵や穏やかな天候のためか、

人々の心に余裕があり、他宗教にも寛容で

アンカシオン教を含む幾つかの宗教が

盛んなお国柄であった。


 14の神像兵器を各々、授かった14人の柱石が

軍の中枢を担い、政の中枢は、王を中心として、

高名な貴族や宗教家、そして推挙により

登用された官僚群により運営されていた。


 近年、老公の残した治績の影響か、

多岐に渡る分野での技術革新のための

開発に力をいれていた。

特にとある召喚者を中心とした農業技術の

改善・向上にそれなりの結果があらわれていた。


「やっと到着したな。

稲生、アルバンは、このまま、屋敷に直行だな?」


街のほんわかとした雰囲気のためか、

アデリナの表情が若干、柔らかく見えた。


「そのつもりですが、アデリナさんの

荷物はどうしますか?」

そこそこの量があるアデリナの荷物を見ながら、

稲生が尋ねた。


「ふむ、適当な時期に取りにいくかな。

必要なものは今、持って帰る。

しばらく預かっておいてくれ」


「わかりました。保管はしておきます。

念のため、目録を作成して、アルバンに

届けさせておきます」


 稲生の提案にアルバンの表情は沈んでしまった。

目録の作成は自分がすることになるのを

予想してのことだった。


アデリナは稲生の提案におかしそうに笑い、答えた。

「大したものはないし、そこまでは必要ないだろうよ。

手間がかかるだろう。言質が必要なら、答えてやろう。

目録の必要なし」


稲生は、真摯な表情で答えた。

「遺跡で発見した貴重な武具や道具も

ありますから、念のためと思いまして」


「ふん、まあ好きにすればいい。

目録のさじ加減は稲生、おまえに

任せた。適当に分配する様にしろ」


稲生は表情を和らげ、アデリナの言わんと

することを理解したと伝えるために

軽く頷いた。


そんな稲生をアルバンは、油断のならない奴と思い、

表情を殺して見ていた。

しかし、胡散臭げな視線は、隠しきることが

できなかった。


「では、後日」

そう言い残して、アデリナは騎乗した。

アデリナは、馬を走らせ、去っていった。


「さて、我々も帰りますか」

稲生とアルバンにそう言うと、

二人は馬車に乗り、屋敷に向かった。


 妻と子供たちに会える嬉しさ、

寝慣れたベッドと温かい食事は、

旅の疲れを癒すだろう。

そんな思いから、家に近づくにつれて、

稲生の表情は和らいでいた。

その反面、何故かアルバンの表情は険しさを

増していた。


稲生さん、気が抜けたようで。既にまったり気分

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