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2. 対峙1(稲生)

もどきの一人登場。

「ぷぷっ、威嚇のつもりー。

そんな程度の精霊の助けじゃ何ともならないの」


ぱたぱた、妖精にしては大きすぎる

何かがアデリナの前に姿を現した。


「ふん、それにしては、姿を現しているじゃないか?」


それは、アデリナより3mほど離れた場所で

ホバーリングしながら、ケタケタと笑い声をあげた。


「ぷぷっ、良く吠えるわー。

キリアの雑魚キャラがねぇ。

今日は、用事があって、会いに来ただけだよ。

アデリナ、君にじゃなく、

後ろにいる冴えない男にだけどね。

ちょっと通して貰えるかな」


ニタニタと笑いながら、アデリナの側を

パタパタと通過しようとした。


細剣が鞭の様にしなり、数十もの細剣の軌跡が

それに襲いかかった。

しかし、それは何事もなかったかのように

そこを通過した。


「あはっ、君が彼に同行していることは知っているの。

君のその必殺に何の対策もしてない訳ないじゃん」


そう言うと、それは、移動速度を上げて、

稲生とアルバンの前に到着した。


「やあやあ、はじめま、」

その開いた口に稲生が丸い袋を投擲した。

アルバンは、剣を構えているに留まっていた。


「ギャアギャア、ぐううぅ、ごふごふぅ」

叫び声をあげて、口から稲生の投擲したものを吐き出した。


その隙を見逃さずにアデリナが後方から

細剣でそれを切り裂いた。

羽根が落ち、それは地面に落下した。

更にアルバンがそれに剣を振り落としたが、弾かれた。


「げろげろー。

何てものを放ってくるんだよ、このバカ」


3人は、それが話す軽口には一切、応じずに

各々、攻撃を加えた。

それは地面に蹲り、背中を丸めて、

3人の攻撃を受け、悲鳴を上げていた。


「わーわわーわー、殺されるよう。痛いよう」


それの背中が血まみれになり、

演技じみた声で悲鳴を上げるが、

3人は攻撃の手を緩めなかった。


「うーん、こんなものかなぁ」

飽きたようなことを言うと、

それの周りに強烈な風が起こり、

それは一瞬で近くの木の枝に座っていた。


「まーまー、アデリナも落ち着いて。

その細剣に拘る君じゃあ、殺せないのは分かっているでしょ。

今日は、君と旧交を温めに来たでのなく、

そこのボクゥと話に来たんだからさ、ちょっと話させてよ」


アデリナの切れ長の目が更に鋭くなり、妖精もどきを睨みつけている。


「ふん、貴様のくだらない戯言に付き合う気はない。

この剣に最強の名を刻まれるまでわが身は、剣と共にあるまでよ」


アデリナが剣を大上段に構え、一点を見据えている。

一度、二度、三度と大きく呼吸をした。

彼女の周りの大気が震え、稲生とアルバンは、

そのひりついた大気を肌で感じ、鳥肌が立った。


「ムッ」


もどきの表情から、へらついた表情が消えた。

そして、彼等の眼前の大地から土でできた人形が

もどきを守る様に無数に現れた。


アデリナは、構えを解いた。


稲生さん、狙われる―。もてきじゃないですよ。

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