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6.覗き

九之池さん、変態行為に興じる、、、、のかも

九之池の購入した屋敷は、急ピッチで復旧され、

ある程度、住むことが出来る様になったため、

シリア邸を出ることになった。

九之池は、シリア卿にお礼と挨拶を

するために執務室を尋ねた。

軽いノックの後にドアを開けようとしたが、

鍵がかかっているのか開かない。

しかし、室内には誰かがいるようだった。

物音と何か妙な音がする。

九之池は即断した。

最後にコソ泥を捕まえて、御礼の代わりと

しようと思うやいなや、ドアにタックルを

かまし、破壊した。


ごろごろー転がりながら、執務室に入った。

そして、賊を成敗するために身体の痛みを

我慢しながら、立ち上がった。


「貴様は、アポを取るという常識がないのか」

半裸のシリア卿が真っ青な顔をして、

震え声でいった。


傍には、そくささと服を着始めている

エドゥアールがいた。

九之池は、露わになっている彼女の胸に

釘付けになっていた。

そして、思考は停止していた。


「おい、呆けているなら、正気にもどしてやる」


「ぐああぁー」

九之池は、叫ぶと床を転がっていた。

そして、何故かエドゥアールの足元に転がり込んで、

下から彼女の肢体を眺めるはめになった。

にやりぃ、痛みをエロが超越したのだろう。

しかし、次の瞬間、脳裏にエドゥアールの

半裸の姿を記憶しつつ、意識を失った。


「こいつは、一体、どこまで常識がないのか?

そして、どこまで迷惑をかける気だ」

シリア卿は怒りが収まらず、転がる九之池を

蹴り飛ばした。


「この男と縁を切らないと、

一生、悩まされる気がしますが」

先ほど、転がって来た九之池の頭部を

思いっきり蹴り飛ばしたエドゥアールが言った。


「エドゥアール、こいつを運び出すために人を呼べ。

それと、挨拶はいい、さっさと出て行けと伝えておけ」


エドゥアールは、乱れていた着衣を正すと、

一礼して、使用人たちを呼びに向かった。


誰の見送りもなく、支給された馬車で

九之池とルージェナは、屋敷に向かった。

派遣先が変わり、会社を去る時と

同じような雰囲気に別段、九之池は、

寂しさを感じることもなかった。

しかし、ルージェナが寂しそうにしているため、

九之池は、何とか盛り上げようと話し掛けた。


「そっそう、ルージェナ、知っている?

シリア卿とエドゥアールが昼間から

まぐわってんの。

あの二人、そういう関係だったんだりょね」

本人は、爽やかな笑みを送ったつもりだったが、

下品な笑いにしか見えなかった。


「えっ」


「ん?」


「いやいや、あの二人が恋仲というか、

そういった関係なのは、お屋敷で知らぬ方々は、

いらっしゃいませんよ。

みなさんの暗黙の了解となっています」

ルージェナの説明に九之池は、

知らぬは自分ばかりと不貞腐れた。


「ふん、じゃあ、なんで、

あんないやらしい関係なのに結婚しないのさ。

シリア卿が単に自分の欲望に忠実なだけじゃん」


ルージェナは、どうもこう極端に

振れる九之池の考えに呆れながらも、話を続けた。

「貴族にとって、結婚は、政略の一つですから、

妻とは別に側室を設けるのは当たり前ですし、

独身でいることが交渉のカードになりますので」


「ふーん、奥さんになる方がかわいそうだね。

結局、不倫でしょ、それ」

知ったような口で彼の知る範囲の常識を語った。


「ちょっと、違う気もしますが、確かに側室や愛人を

作らないにこしたことはありませんよね」

内心は別のことを考えていたが、

適当に九之池の意見に合わせて、この話を打ち切った。


九之池は、我が意を得たりと

にこにこしながら、手綱を取った。


最後までしまらない男!

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