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101.気絶からの復活(九之池)

復活だー

シリア卿とルージェナが話し合っていると、

部屋の外の通路から、めずらしく雑音が聞えて来た。

その音と声にシリア卿は眉を顰めた。

「一体、何事だ」


使用人によって、執務室のドアが開けられた。

ノックもなく、無礼極まりないとシリア卿は思ったが、

目に入った状況に唖然としてしまった。


 獣人の頭2つを持って通路に立つヘーグマンがいた。

無論、首下はない。


シリア卿は、本日、二度目となる呻き語を発してしまった。


「へっへえぇーグマン、これは一体。

弁明如何によっては、只では済まされないぞ」


ヘーグマンは、恭しく、一礼をして答えた。


「約定を違え、都合よく解釈し、我が国の中枢に

混乱を陥れた者たちです。相応の罰を与えました。

この者たちは、渉外の前線に出てくる者たちではございませぬ。

大きな問題になることはないでしょう。

恐らく、明日にでも九之池殿が交わした約定に

則った交渉を持ちかけてくるでしょう」


にこやかな表情を崩さずにヘーグマンは、

シリア卿を見つめていた。


「ふーぅ、ヘーグマンよ、貴様が動いたのであれば、よかろう。

今回の九之池の件に関しては、不問とするが、

次回は、只で済まされるとオモウナヨ。

バルザースやレズェエフとの関係が落ち着かない現在、

連合王国と揉めるは厄介だしな。

別件だが、貴族に列せられる件は、

そのまますすめることとする。

ヘーグマン、そこに転がる豚を連れていけ」


九之池は、二つの生首を一緒に抱えられて、執務室を出た。

挨拶もそこそこにルージェナは、慌てて、ヘーグマンの後に

ついていった。


 二つの生首は、使用人により獣人国の商館へ

送り返された。

意識がはっきりとした九之池は、稲生たちと合流し、

今後の予定について話を始めた。


「そうですか、九之池さんは、爵位を得て、

妻を娶るということですね」

稲生が九之池の今後について、確認をした。

この男の妻になる女性に興味が湧いていたが、

所詮は、政略上のことだろうと思い、望まぬ結婚を

強いられる女性の不幸を思い、あまり聞かずにいた。


「ま、まあ、よくわかりませんが、そのようです。

稲生さんはどうするんですか?

一度、キリアに戻りますか?」

相変わらず、己の意思なく、

周りに流されている九之池であった。


「レズェエフに向かいたかったですが、

この状況なので、危険は冒したくなくですね。

幸い魔術を付与された武具や装飾品が手に入ったので、

一旦、戻ろうかと思います。

アルバン、故国へ向かうのは、また、後日としましょう」


稲生の言葉にほっとるすアルバンであった。

いまだにバルザースやベルトゥルとの国境が

ざわついているところにふらふらと旅などして、

危険を冒す気はさらさらなかったため、賛成した。


九之池さん、やっと落ち着く!

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