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81.最前線の状況3(才籐)

才藤さん、やっと出番かも

アルフレード皇子をはじめとする将は、

魔術の力により、城内の熱気と湿気から守られていた。

 バルザース帝国軍の多くの兵士たちはそうもいかず、

この状況で甲冑を装備して、城を防衛していた。

日中の日差しが最も激しい時間帯での雨、

そして、その後の湿気が体力と気力を

兵士たちから奪っていった。

一週間もすると、体力と気力が尽きはじめ、

統率が乱れ始めた。


レズェエフ王国軍の本陣では、活発な議論が交わされていた。


「そろそろ、頃合いではないか?

バルザース帝国軍の援軍が到着する前に

城へ総攻撃すべきでは?」


「いやいや、城壁の上の兵士を見るに

そのうち陥落するのでは?

奴らにはもう少し苦しんで貰うべきでは?」


「意趣返しに一騎打ちの使者でも送ってみては?

そのついでに将兵の状況を観察するのはどうだろうか?」


レズェエフ王国軍は、兵数は多いが、

世に喧伝されるような勇将、剛将、知将がほとんどおらず、

凡将が大半を占めていた。

そのためか意見は百出するが、方針が定まらず、

最終的に宮廷魔術師であるアグリッパに方策を求めた。


アグリッパは、内心、なぜ俺がと

情けない思いに囚われるも彼らに

付き合っても時間の無駄と判断し、方策を示した。

「バルザース帝国軍最強の将、皇子は今、周辺の砦の攻略に

手を焼いています。

彼がここに着陣する前にアルフレード皇子を

撃破することがまず、第一です。

恐らく皇子の着陣の前にバルザース帝国軍の援軍が

到着するかと予想されます。

軍を率いているのは、帝国の最大勢力のうちの

一つアルベリク侯爵のようです。

可能なら、城に籠るバルザース帝国軍に合流させると、

面白いことになりそうです」

ここでアグリッパが一旦、言葉を切った。


 何人かの将は、アルベリク侯爵の名前を聞いて、

薄笑いを浮かべた。


「5日後、獣を先頭に城へ総攻撃を仕掛けましょう。

今まで行ってきた散発的な攻防が

そろそろバルザース帝国軍には惰性に

なってきているかと思われます。

陥落させるには頃合いかと判断しています」

とアグリッパが献策すると、諸将と全軍を

預かる将軍が全面的に賛成の意を示した。

そして、各将、詳細の打ち合わせ後、準備に取り掛かり始めた。


 周辺の砦を攻略中の皇子は、アルフレード皇子からの

書簡をうやうやしく、受け取った。


「アルフレード皇子にも困ったことです」

4つ目の砦を攻略中の皇子が珍しく眉間に

皺をよせて、呟いた。

 ヴェンツはそんな皇子の憂いを帯びた表情に

同姓ながらもどきりとしてしまった。

邪念を頭から振り払い、皇子にヴェンツは話し掛けた。

「皇子、どうしましたか?」


「ふむ、アルフレード皇子は、指示を出せば、

即、軍が動かせるとお思いなのでしょう。

現戦場を放棄して、至急、合流しろとの伝令です」

やれやれ困ったとばかりに両手を広げて、

ポーズを取る皇子であった。

 

 ただでさえ、退却戦は、どのような状況下で

あっても危険を伴う上に皇子の率いる兵力は

今回、左程、多くなかった。


「しかしながら、王族である上に総大将の伝令であれば、

受け入れるしかありませんね」

とザヴォワが口を挟んだ。


「ここは、アルベリク侯爵の最も得意とする戦術を

参考にさせて貰うしかありませんね。

合流したところで、レズェエフ王国軍の

総兵力の1/3程度ですから。焼け石に水です。

まあ、城兵が出来る限り撤退できるように差配しますかな」

 皇子は弁えていた。いかに優秀な戦士や武人で

あっても一個人の武勇で兵力差を覆すのが困難なことを。

そして、一人の英雄が戦場の大勢を覆すのは、

ごくごく稀なことであると理解していた。


「ザヴォワ将軍、申し訳ありませんが、殿軍を頼みます。

私は、最大拙速で城に向かいます。

ヴェンツは、同行しなさい。

アルベリク侯爵の巧遅とは

真逆の戦術となりますが、兵士の損失を

出来る限り小さくする点は同じです」

と皇子は爽やかに笑った。


「いやいやいやいや、皇子、それは違います。

アルベリク侯爵は単に遅いだけです。

結果は必ずしもよくありません」

とヴェンツが断言すると、皇子を含む諸将は

揃って笑った。



そろそろ、才籐さんの雄姿がみれるかも


微妙に暑くて、日々だるいー


ちょっと長めなので今日の更新は3回です

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