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79.最前線の状況(才籐)

ぐわわーっ!

 翌日の5刻にアファバは、長さ200㎝ほどの

愛剣を片手に、強奪したレズェエフ王国軍の軍旗を

片手にレズェエフ王国軍の方へ向かって、馬で進んだ。


 城とレズェエフ王国軍の間の中央付近に

到着すると、アファバは、おもむろに

レズェエフ王国軍の軍旗を地に突き立てた。

そして、剣を空に向かって、突き上げた。


 レズェエフ王国軍の陣では、諸将が興奮した兵を

なだめるのに手がいっぱいであった。


 挑戦状を受け取り、何と馬鹿なとせせら笑い、

さて、どう対応しようかと討論を始めたばかりであった。


 そのタイミングで2mに近い見事な体躯の男が

両軍に見えるところであのパフォーマンスを始めてしまった。


 レズェエフ王国軍の一部の血気盛んな武将が

飛び出して、アファバの前に立った。


「レズェエフ王国軍が将、ラジェフ」

アファバは、一瞥すると、

「小僧、命が惜しければ、出直してこい」

と一喝した。

そして、威嚇のつもりか片手で大剣を振り回した。


 ラジェフは、その凄まじい膂力に一瞬、

圧倒されたが、一声、吠えると、手持ちの槍でアファバを突いた。


「むふん」

と大剣を薙ぐと、ラジェフと馬が真っ二つになっていた。


 レズェエフ王国軍にあったざわつきは、

一瞬で消えた。

そして、兵の戦意が萎えるのを諸将は一瞬で感じ取っていた。


「あーあーったくこれだから、脳筋は嫌だねえ。

ったく、どいつもこいつもあんなはりぼての

パフォーマンスにのまれて、使いもんにならないじゃねえか」

と不平をぶつくさとつぶやくアグリッパであった。


「アグリッパ殿、そう言うな。

それより何か策はないか?この士気では、

戦が上手くいかんぞ」

一人の将がアグリッパの聞えよがしの言葉に反応した。


「まあ、仕方ないな。本当は、皇子と対陣するまで、

温存しておきたかったが、仕方ないな。

あれを出陣させる。仕方ないな、仕方ないよな」

仕方ないと連呼しながら、馬に騎乗し、

アファバの眼前に向かった。


 アファバは、目の前に対峙するアグリッパを

一瞥すると、興味なさげに言った。


「おい、魔術師、そこに倒れた勇敢なる者を

貴様らの陣に運べ。そのくらいの時間は待ってやる」


 アグリッパは、遺体に目をやると、

「ああそれですか、直ぐに片づけますよ」

とぼそりと呟くと、地面に魔晶を放り投げ、

大空に陣を右手に持つ杖で描いた。


 ぐおおおっー両軍を震撼させるような

獣の咆哮と共にアグリッパの前に一匹の獣が現れた。


「まず、あそこにある能無しをかたづけなさい」

アグリッパがそう言うと、獣は、横たわる死体を

鎧ごと貪り始めた。


 この光景が見えた両軍の兵士たちは、息をのんだ。

聞こえるはずのないバリボリと死体を

噛み砕く音が聞こえたような錯覚に陥っていた。


 アファバは、目を細めて、この状況を見守っていた。

バルザース帝国内で、30mを超すような巨大な蛇、

2mを超す巨躯の邪悪で狡猾な鬼、

大空を覆うような巨大なドラゴン種を

討伐してきたアファバにとって、眼前の獣は、

単なる矮小な魔獣に過ぎなかった。


「ふーむ、まだ、食べ足りないようですね。

では、少々、硬そうですが、あそこに

突っ立っている脳筋を貪りなさい」

と言って、アグリッパはにやりと笑った。


 獣はのそりと首を動かして、アファバを見やると、

欠伸をしながら、ゆっくりと近づいた。


獣の雄叫びだー

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