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78.戦況を気にする(才籐)

才藤さん、いまだにまったり

「司祭、今って、前線の戦況、どうなってるの?」


「国境線のレズェエフ王国の堅城を陥落させて、

そこを拠点にしようと画策中のようです。

皇子は、周辺地域の安定に奔走しているようです」

とメープルが答えた。


「ふーん」

才籐はどうも釈然としない返事を返した。


「どうやら城を陥落させたのは、

アルフレード皇子を中心とした軍のようです。

皇子は、後方で後詰めだったようですよ」

釈然としない才籐にメープルが説明を補足した。


バルザース帝国勢力圏のためか、

それとも大きなトラブルがないためか、

計画通りの行軍であった。

後、一週間も行軍すれば、アルフレード皇子と

合流できるようであった。


アルフレード皇子は、城を堅く閉ざし、

レズェエフ王国軍と対峙していた。

予想より早く、そして多い軍勢の襲来に慌てて、

周辺から徴収という名の略奪により、糧秣を集めたが、

長期の籠城戦には足りなかった。


「この暑さでの籠城戦は、いささか不味いな。

皇子と援軍に伝令を送れ」

と素早く指示を出すアルフレード皇子であった。


周辺地域からの略奪行為に興奮気味の兵たちは、

城の眼下に展開する敵軍を見ても恐怖に

囚われることはなかった。


弱兵のレズェエフ王国軍、先の大勝利、

そして近日中に皇子と本国からの援軍が

到着することも相まって、敵軍を見くびっていた。


「アルフレード皇子、敵兵を見るに

我が軍勢で十分に籠城戦に

持ち堪えることができます」

イラーリオが現状を進言した。


「籠城戦の景気づけに野戦で一戦して、

奴らの出鼻をくじくのもありではないか?

はなから、籠城戦では、臆病者の誹りを受けるわ」

とアファバが吠えた。

二人は無言で、睨み合っていた。


そんな状況がめんどくさかったのか、

アルフレード皇子は、軍師に意見を求めた。

「軍師、どう思われますか?」


一斉に諸将が軍師に注目するが、

フードに顔を覆われているために表情を

見ることができなかった。

フードの奥から、抑揚のない声が発せられた。

先日とは、比較にならないほど魅力のない声であった。

「両将軍の言うことは最もです。

折衷案ではございませんが、

レズェエフ王国軍に挑戦状を

送っては如何でしょうか?

向こうが拒否すれば、物笑いの種にすれば、いいのですよ。

実際に戦うことになったら、負けなければいいのですよ」


諸将は鼻白んだ。

負ければ、士気の低下は否めず、

かといって必ず勝てる保証もないため、

どの顔も微妙な表情であった。


そんな雰囲気を察したのか、軍師が更に続けた。

「近隣の住民に威を示し、叩き斬ることはできても

将たる者とは、恐ろしくて立ち会えぬとは」

と言って、くぐもった声で笑った。


「軍師、言い過ぎです。

我が軍にそのような弱兵はいませぬ。

勝てぬにしてもその雄姿が

否定されるような戦いぶりはいたしませぬ」

とアルフレード皇子が窘めた。


そして、その発言に諸将は、唱和した。

「では、問題ないようですので、

人選と挑戦状の作成をすすめましょう」

と軍師が纏めた。


一応、気にしている模様

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