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74.皇子出番なし(才籐)

戦じゃー

皇子を後方へ追いやったアルフレード皇子は、

本陣で取り巻きを集めて、眼前の城を

攻略するための軍議を開いていた。

バルザース史上、類を見ない速度での

進軍により城を囲んだため、どの将も

レズェエフ王国の城塞内では、準備不足による

兵糧の不安を抱えているとの見解であった。


アルフレード皇子の好みのせいか、

取り巻きは、粗野で個人武勇に優れる者が多く、

戦略・戦術・謀略に優れる者は少なかった。

軍議は、武勇を誇る者たちの景気の良い発言が

歓迎され、城を攻めるというより、強大な魔人や魔獣を

討伐するような雰囲気が支配していた。


皇子が布陣する遥か手前の方で、

バルザース帝国軍の雄叫びが聞え始めた。


「どうやら、始まったようですね、攻城戦が」

と皇子が呟くと、ヴェンツがその呟きに応じた。

「どうも城壁に向かって、突撃しているように

見えますが、まさか、何の策も無しに

突撃しているのでしょうか?」


「さあ、軍議に参加していませんから、何とも。

流石にそれはないでしょう」


バルザース帝国軍最前線では、アルフレード皇子の

取り巻きの一人の戦士が先陣をきって、城壁に突撃していた。

そして、その戦士を先頭に紡錘形のように兵士が

城壁に向かっていた。


「ウラララァー、オウラー」

先頭の男は叫び続けていた。


城壁の上から、この状況を観察しているレズェエフ王国軍は、

この無謀な突撃に唖然としていた。


攻城兵器、魔術、そういった城を

攻略する定石のものが一切感じられない

その無謀な突撃にレズェエフ王国軍の守将たちは、

内応の策でもあるのではと城内の裏切りを

疑ってしまった。


「奴らに付き合う必要はない。撃て撃て討てー」

幾人かの将が叫び、我に返った兵士たちは、

矢に魔術をバルザース帝国軍に向かって

豪雨のように降り注いだ。


先頭を疾走する戦士は、絶叫した。

幾本もの弓矢魔術がこの戦士を包み込んだ。

この男は死ぬだろう。

「捧げよ捧げよこの魂を。

アルフレード皇子に捧げよ、ウラララァー」

無数の魔晶を青空に向かって散らした。

降り注ぐ陽光を反射し、その場所だけ別世界のように煌めいた。

そして、膨大な魔術の渦が男を包んだ。


先頭を疾走する戦士は、全身を光に包まれ、更に加速した。


そして、そのまま、城壁を貫通した。

戦士は死と引き替えに城壁の一部に大穴を開けた。


「全軍、あの者に続けぇー。

今この時ぞ、あの城を攻略するのはぁぁ」

剣を振り上げ、絶叫するアルフレード皇子、

そして、取り巻きの将の多くが狂ったように

アルフレード皇子の名を叫びながら、

大穴に向かって疾走した。


アルフレード皇子が麾下、アファバ推参!」


「バルザース帝国軍、カッリス!」


「アルフレード軍、イラーリオ参上」


アルフレード皇子の子飼いの将が続々と

名乗りを上げ、城壁の内側に突入した。

確かに彼らは兵を指揮するのは不得手であったが、

万夫不当の戦士であった。

青空より降り注ぐ矢と魔術による多くの犠牲はあったが、

バルザース帝国軍は城へ侵入した。



予備戦力は必要です

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