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67.探り合い(九之池)

九之池さん、だらだら生活開始っ!

一方、ルージェナは、シリア卿への報告を

九之池の代わりに纏めていた。

 道中、あれだけ「眠い、疲れた」を連発されて、

どうにも今回は、九之池にそれを作成するように

伝えにくかった。


 一休みと思い、背中を伸ばして、部屋を出て、

街に出ると、後方から突然、声をかけられた。

その声は冷たく、聞く者を底冷えさせるようであった。

「少しだけお付き合いください、ルージェナ」

恐ろしく冷たい声であったが、その声は、聞き覚えのある

ヘーグマンのものであった。


「うーん、女性に声をかけるには少し声が冷たいですよ、

ヘーグマンさん。10点です」

と振り向いて、冗談交じりにヘーグマンに言った。


 そんなルージェナの冗談に全く応じず、

ヘーグマンが付いて来るように促した。


 洒落た食事処に入店すると、ヘーグマンが焼き菓子と

飲み物を注文し、ルージェナに薦めた。


「ここの焼き菓子は絶品です。どうぞ頂いてください」

と先ほど変わらぬ声で薦めるヘーグマンだった。


「ありがとうございます。

でも、そろそろ、その冷たい声をやめませんか。

ここのお店には合いませんよ」

と恐れる風もなく、返答するルージェナであった。


「そうですな。では、単刀直入に伺いましょう。

九之池殿を利用して、何をするつもりですか?」


「九之池さんを?ちょっ無理です。何も出来ませんよ。

私は取引に応じて、九之池さんの従者として

お側にいるだけですよ。

まあ、少し出世したら、ちょっとは私も

贅沢できるかなっとは思ったり

思わなかったりですけど」

ルージェナは驚いた表情から

最後はおどけた表情で答えた。


 そんなルージェナの表情に眉一つ動かさずに

ヘーグマンは冷然と答えた。

「どんなに九之池殿を唆そうとも彼の

あの性格では最後は失敗で終わります」


 ルージェナはその言葉を聞くと、顔を歪めた。

この男は復讐を止めろと言外に匂わす。

一族郎党皆殺しの目に遭い、如何なる事情が

あろうともそれ以外に何が残ろうというのであろうか。


 ルージェナは更に顔を歪めて、ヘーグマンを

睨みつけて、言った。

 テーブルの下で握っている右拳に爪がめり込み、

血が滴り落ちていた。

「一体、何のことかわかりかねますが、

九之池さんの名声が上がるのは、

大公をはじめとする諸貴族の方々の思惑通りかと」


「ふーむ、わかりました。念ため、忠告はしました。

では、これで失礼いたします。

レディは、ここの焼き菓子を楽しんでいってください」

と普段の好々爺のような表情に戻り、にこやかに去っていった。


だらだらー

他の人にそのしわ寄せが!

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