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19.鍛冶屋問答

みんな集まるー

「なっなぜ、ワイルド将軍がここに?」

稲生は、第一声、ワイルドに声をかけた。


「ヤンデルフォン卿が珍しく、

紺のローブを着ていなかったため、声をかけたのだ!

打ち合わせをキャンセルして、

愛しき男にでも会いに行くのではないかと。

それは由々しき問題であり、

相手が誰であるか確認しないと問題であろう」


「ちっ違うぞ、稲生!誤解するなよ。

変装だ、周囲を欺くための変装だ。

あらぬ誤解がたっては、困るだろう。

なっなっあ!」


その後の説明は、なんとなく予想通りの展開であった。

何度か言い争うもリンは、軽くあしらわれ、

激高して、部屋に戻り紺のローブを羽織ってきたようだ。

そして、なぜかこの巨漢は、当たり前のようにローブを

着たリンについて来た。


「して、稲生。最初はどこに行くのだ!

このでかぶつは、放っておいて、さっさと行くぞ」

とリンは、あくまで、将軍は、ついて来ない前提で

話を進めている。


「ええ、まずは、荷役として雇ったノーブルと落ち合い、

鍛冶屋に向かいます。

リン、ワイルド将軍、よろしいでしょうか?」

と稲生が説明するとリンは、ジト目を向けてくるが、

スルーして、ワイルド将軍と話ながら、

ノーブルとの待ち合わせ場所に向かった。


ノーブルに彼らを紹介すると、昨日とは違い、

緊張している雰囲気が見て取るように分かった。

そして、昨日の流暢な語りとは打って変わって、

ぎこちなく挨拶を交わしていた。


ノルドの鍛冶屋に向かう途中で、

稲生はノーブルに尋ねた。

「ノーブル、ワイルド将軍に緊張するのは分かりますが、

リンにまで緊張するのは、彼女が美人だからなのでしょうか?」


ノーブルはフルフルと首を振り、答えた。

「まず、稲生様、私には敬語はおやめください。

雇い主ですので、必要ありません。

まず、ゲルト卿は、14柱将軍の1柱として、

非常に高名な方です。

普通なら、私ごときが挨拶を交わすことなど、

絶対にありえません。

ヤンデルフォン卿もまた、紺の魔術師連盟に

属する第3席として、高名な方です。

もちろん、美人でもありますが」


「敬語は、すみません、癖なので

如何ともし難いですので、このままで話します。

ノーブルは、そういったことに詳しいのでしょうか?

それとも一般的なことなのでしょうか?」

稲生は素朴な疑問を尋ねた。


「あの方々は、市井の噂で話題になった方々なのですよ。

そういった意味では、亡くなられたザルツ将軍も高名でした。

噂に聞こえない方々の事は、我々、民では知り得ません」


「そうなんですね。ありがとうございます」

そんな話をしていると、ノルドの店に到着した。


稲生たちが入店し、奥に声をかけると、奥から、

眠そうなノルドが出てきた。

何故かワイルドとリンはノルドをじっと見ている。

そんなことはお構いなしにノルドは話始めた。

「おい、稲生、注文の品は全て、準備できたぞ。

もってけ。わしは、今から、酒を飲んで寝る」


「では、商品を確認させて頂きます」

と言い、稲生は、出来栄えの確認をした。


「ふん、勝手にせい」

と言いつつも稲生の確認が完了するのを

待っているノルド。


「リンです。覚えていますか?ノル爺ですよね?

ノル爺がいると言うことは、メリアムさんも

近くにいらっしゃるのですか?」

と突然、リンが話しかけた。


「そうか、思い出したぞ。

老公が率いる技術者集団にいた鍛冶師だな。

軽装鎧の製作者だな、確か。

老公亡き後、各地に散ったと聞いていたが、

あなたは、ここにいらしたか」

ワイルドは、一人心地で話していた。


ノルドは、リンの言葉に反応し、

リンを穴のあくほど見て、ようやく、言葉を発した。

「あの小さい嬢ちゃんか!

魔術師として、有名になっとたから、

王都にいると思っておったぞ。

あんまり美人になっとたんで、

気づかなかったぞい。

すまぬ、ここに来ているとは、思わなんぞ。

嬢ちゃんは、老公の敵討ちをするつもりで

この地に来たのか?」


リンは、表情を固くして、鋭く一言。

「王命です」

その言葉には、老公の敵討ちを頑なに

否定する響きがあった。


ノルドは、その言葉を無視して、諭すように話した。

「嬢ちゃんには、獣を倒すのは無理だ。

召喚者二人を喰って、もはや、人知の知りうる力の

限りでは奴は倒せん。

神を模する神象兵器で何とかというところだろう。

亡き老公も嬢ちゃんに敵討ちなんぞ、望まんだろう」


「そうですよ、リン。あなたには無理です。

あなたにもその事が良く分かっているでしょう。

まあ、あなたのことです、功名心と復讐心で

等分といったところでしょうか。

それと稲生、ドワーフを優先させて、

女性を待たせるとは如何なことでしょうか?」

後方より、冷徹な女性の声が聞こえてきた。


振り返ると、腕を組み、若干、不満顔の美しい

薬屋のエルフがいた。


ひとまず、稲生は、事の成り行きについていけず、

戸惑っているノーブルに声をかけた。

「このアイテムは問題ない出来栄えです。

ノーブルこっちの投擲用の武具を纏めて、

運べますか?」


「了解しました」


ピクリと柳眉が逆立ち、

美しいエルフの眉間に皺がよった。


会話が弾む!

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