表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/277

45.説明(稲生)

情報収集に余念なし!

「アデリナさん、一体、先ほどの皇子との会話一体?」

と稲生は商館でアデリナを問い質した。


「あーあれか、そうでも言わないと、

どうにもならなかっただろう」


「いえ、それはどうでもいいのです。

確かにそうですから。

それより、なぜ、バルザースで立ち合いを?」

と稲生が質問を明確にした。


「ふむ、それかっ。数年前に14柱の一人が

獣に敗れたのは知っているな、稲生」


 確か召喚されたばかりの出来事であったが、

稲生は覚えていた。話したことはなかったが、

将軍の名前はザルツといい、大広場で獣に

首を飛ばされたはずだった。

そして、あまりの衝撃に汗まみれで失禁した。


 稲生は無言で頷いた。


「その獣に致命的な一撃を加えたのが、

職人のドワーフだったよな。

その程度の者に屠られる魔獣に将軍が

殺されるとは、如何なものかと、

一部の貴族どもが騒いでいるんだよ。

継承者を定める継承の儀すら、

否定する始末だしな」

アデリナが話を一旦、区切った。


 ノルドを低くみる貴族どもへのいらつきが

稲生の鼓動を速めた。

 ノルドは稲生にとって、短い時間であったが、

頼りになるおじさん的な立ち位置のであった。

 そして、獣へのあの一撃は、研鑽を

極めた者のみが到達し得る技であったと

今でも思っていた。

 色々な思いが稲生の中で交錯し、

落ち着かない気分が支配した。


「まあ、簡単言うとだな、神像兵器を

継承した者はそれなりの実力があると

証明して来いと、一部の貴族どもが騒いだんだよ。

出来ぬなら、継承の儀を見直すとな。

敵情視察も含めて、そうそう死にそうにない

私が選ばれたということさ」


 稲生はアデリナの話を聞いて、

朧気にだが状況が何となく理解できた。

継承の儀がどのような内容かは、分からないが、

少なくとも家柄や金では神像兵器の

継承者には選ばれないのだろう。


 そして、稲生は、思った。

アデリナは絶対に立候補したと。


「アデリナさん、もしかして、あの将軍が

用いていた武具の継承者はいまだに

決まっていないのですか?」


 アデリナは、稲生の質問に短い詩歌で答えた。

「戦場を疾走する者、ここにあり。

されども剣は振るわれず、彼のもの周りは死屍累々」


 稲生には何のことかさっぱりだったので、意味を尋ねた。


「あの剣の歴代の継承者の剣速が早すぎて、

人が認識できぬこと。

そして、一撃で敵を屠っていたということだよ。

そのため、こういう歌が生まれたのだろう。

相当の実力が無ければ、継承出来ぬよ。

ましてや、継承の儀の是非が未だに

議論されているからな。 

 ちなみに私の武具は内緒だ。

おまえに知られると厄介だからな。

次に立ち会うときは前回の雪辱を

果たすためにも使ってやろう」

アデリナは楽しそうに話を結んだ。


 稲生は、アデリナに説明のお礼を

言うと、自室に戻った。


稲生さん、色々とお勉強!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ