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40.相談(才籐)

人気者才籐さん

 二度ほど、ドアをノックされて、

才籐がどうぞと言うと、失礼しますと

礼儀正しい返答が返ってきた。


「稲生か?どうした?

また、けっ隣のエロエルフの

自慢にでも来たかのかよ」

ぽっちゃり系のメープルと違った美人系の

素晴らしいプロポーションのアデリナを見て、

才籐が言った。


「いえ、そういう訳ではありません。

エルフと言えば、此処に来る途中で

愁いを帯びた美しいエルフが歩いていましたよ」


「ふん、それはビルギットだろう。

昨日、話していた奴だよ」


「そうですか、あの方ですか。

昨日の話もありますし、一応、紹介して

頂いてもいいでしょうか?」

と稲生が何気なく言った。


「稲生、視線がにやけているぞ。

気持ち悪いな、おまえは」

とアデリナが指摘した。


「おまえ、本当に節操がないな」

と才籐が指摘した。


「いや、そういうつもりはないのですが、、、」

ごもごもと弁解する稲生だった。


 そんなくだらない話をしながら、

才籐は先ほどのメープルの提案を

稲生に相談した。

なんやかんやで稲生を信頼している才籐だった。


「才藤さん、まず、第一案ですが、論外ですね。

最終的に死にます。

それも拷問まがいの実験の末にです。

第二案ですが、もし、仮に才籐さんが

他国へ行こうと考えたとします。

刺客がバルザースより、プレゼントされます。

それに隷属の縛りが開放されて、

常時、苦痛に悩まされます。

あの苦しみに耐えられますか?」

一度、稲生が言葉を切ると、アデリナが補足した。


「他国は、お前を受け入れないだろうな。

バルザースと好んで事を構えることは

しないだろうからな。

おまえが老公なみの才覚を示していれば別だが、

大した才もないことを恐らく他国は把握しているぞ。

最悪、捕縛して、バルザースに送り返すだろうよ」


「最後の義足が一番、現実的でないでしょうか?

才藤さんもその選択に傾いているのでは

ないでしょうか?

もしくは何かやりたいことがあるのでしょうか?」

と言って、稲生が才籐の言葉を待った。


「ねえよ、この世界でやりたいことなんて、

ねえよ。それに左脚がこれじゃ、

あったとしても無理だしな。

なら、義足を貰うのが一番、現実的だろうな」

と才籐がぶっきらぼうに言った。


「そうだろうな、おまえは調べによると、

巡回先の村人たちにそこそこ慕われているようだから、

義足を使いこなして、また、アンカシオン教の庇護で、

色々とするのがいいだろうよ」

とアデリナが稲生の左腕に絡めながら、言った。


「ふん、敵国の人間に言われてもな。

それより稲生、なんで腕を組んでいるんだ。

しかも胸に腕を挟んでいるんじゃねえ。

ここでそれをやるな、分かっているよな?」

と才籐が少し怯えたように言うと、

稲生も才籐の言わんとしたことが分かったようで、

アデリナに注意した。

 

 当の本人は、そう言われると

うつむいて、泣きそうな表情を敢えて作っていた。


「稲生様、その破廉恥な服装の女狐は、何者ですか?」

と憤怒の形相でアデリナを睨みつける鬼女がいた。

稲生と才籐の二人は、遅かったと後悔していた。

アデリナは怯えた様子で稲生をがっちりと掴んでいた。


 メープル司祭の右腕が主の意向を汲んでか、

ゆらゆらと攻撃態勢に入っていた。


「ここには、けが人がいて、

安静にしないといけないと思います。

司祭、お願いですから、鍛練場に行って

頂けないでしょうか?」

と才籐が懇切丁寧な言葉で懇願した。


「ふん、それは、この女狐次第です、ねえ、稲生様」

とにこやかにメープルが言った。

目が笑っていない、稲生は怖いと思った。


「お互いの自己紹介は、鍛練場でしますか、

私は構いませんよ」

と稲生の後方に隠れるようにして、

アデリナはメープルにか細い声で伝えた。

しっかと後方から稲生に身体を密着させていた。


「ぎぎっっ、キサマ、コロス。

イキて、コノタテモノから

デラレルトオモウナヨ、コイ」


言葉を発するごとに凄まじい

歯ぎしりがメープルから、聞こえた。


左でアデリナ、右でメープルが腕を

組んでいるが、稲生は生きた心地がしなかった。


才籐は稲生の後ろ姿に

「いってらっしゃーい」

と高らかな声で嬉しそうに言った。


さてさて、恋の行方は、、、

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