39.人気者(才籐)
才籐さん、どうなることやら
千客万来、今日、才籐の部屋には色々な人物が訪れた。
「ルナリオン様、わざわざ、お越しいただき
ありがとうございます」
珍しく才籐が敬語を話している。
「気にすることはない。それより、義足の件だが、
いつにするのか希望はあるか?
もう、メープルから説明があっただろう」
とルナリオンが才籐に何気なく言った。
「えっ?」
才籐は素の表情で答えてしまった。
「ん?」
ルナリオンも不思議そうに答えてしまった。
「メープルは義足の件を話したと言っていたぞ。
才籐、どういうことかな?」
少々、圧のこもった表情で才籐を威圧する。
「あっいえ、説明は伺いました。ですが、その」
言葉を続けようとする才籐を遮り、ルナリオンが言った。
「受けたのなら、よい。
あとは関係者の日程の調整だな。
あまり不安にならなくても大丈夫だ。
才籐、男なのに心配性過ぎるぞ。
では、後日、日程を申し伝える」
と言って、部屋を出て行った。
「一体、どういうことだ?わからん」
才籐は、自分の預かり知らないところで
話が進んでいるように感じ、少し不安だった。
今度は、ビルギットが訪ねて来た。
「よっ、才籐」
珍しく軽い挨拶な上に上機嫌そうだった。
「よー、ビルギット。どうした?」
「ふむ、才籐の血を少し分けて貰おうかと思ってな。
少し痛いけど、我慢してくれ」
と言って、鋭利そうなナイフをちらつかせた。
そのナイフの陽光を反射させる光が
あまりに眩しく、才籐は右手で光を遮り、
目を閉じた。
その瞬間、左手の甲にグサリ、
ぐさっと何かが刺さった。
「ぎゃーぎゃああー」
突然のことに才藤は、悲鳴を上げた。
この部屋から悲鳴が響き渡ることは、
常習化していた。
そのためか、この教会の関係者は、
清浄な場に相応しくない響きに
眉を顰めるだけで、誰一人心配する者はいなかった。
流れ出る血を小瓶に採取し、
ビルギットは、傷口に魔晶を当てて、治療をした。
「このようにして左脚も治せればと。
忸怩たる思いだよ。すまぬ、才籐」
としおらくビルギットが伝えた。
「別にビルギットのせいじゃないだろう。
命があっただけ、ましだしな。
それより、その血を何に使うんだ?
教えてくれよ」
才籐は、血を溜めた小瓶をうっとりと
眺めるビルギットを見て、尋ねた。
こういう表情のときのビルギットは、
魔術の開発に魅せられているときのため、
才籐は警戒した。
「気にするな。
馴染みをよくするための補助だよ。
早く慣れるほうがいいだろう。
魔術の研鑽をしてこなかった
才籐には必要だからな。
じゃ、当日までに練り込んでおくよ」
と言って、足早に部屋を後にした。
「一体、どういうことだ?わからん」
才籐は、自分の預かり知らないところで
話が進んでいるように感じ、かなり不安だった。
知らぬ間に、、、




