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20.空元気(才籐)

才藤さん、気分が悪いかも。


若いし、アレっ????

 メープルはその日のうちにビルギットを伴い、

才籐の元に訪れた。

「ふーむ、何度、見ても立派な建物だ。

宗教とはそれほどに儲かるものなのかな?」

と意地の悪い顔でメープルに言った。


「ビルギットさん、そういった話は後ほど、

別の場所で伺いますから、

ここでは穏便にしてください」

メープルは周りの視線を気にしつつ、

小さい声でお願いした。


「メープル司祭らしくもない小声だなぁー。

まっ、早く才籐のところに案内してくれ」

と言って、笑った。


メープルは、眉間に皺をよせながら、無言で歩き始めた。


才籐のいる部屋の前でメープルは、入室前に声をかけた。

「才籐、入ります」と言って、ドアを開けた。

そこには才籐がいたが、才籐はメープルを凝視して、

固まっていた。

左手は、かけられた布の中にあり、

その位置は、下腹部の付近にあった。

それを見たメープルはその場から、

動けず、何も言えなかった。


ビルギットは、すたすと室内に入ると、

才籐の目の前に立ち、鼠径部辺りまで布をめくった。

足回りまで晒さずに布を残したのは

彼女なりの気遣いであろう。

才籐の左手は、アレを握っていた。

そしてアレは、大きくなっていた。


「元気じゃのうーのうのう才籐」

とにんまりとするビルギットだった。


「うっうわわぁー、見るな。こんな俺を見るなぁ」

と言って、布をかけ直す才籐だった。


「私は何も見ていない。見ていな。

ちっさいキノコなんて見てない」

と無表情で繰り返すメープルだった。


「ぷっ、ちっさいキノコ?才籐、ちっさいのか」

とビルギットは、げらげらと笑いだす始末だった。


顔を真っ赤にして、否定する才籐だった。

メープルが現実世界に戻ってくると、

改めて、才籐が不貞腐れたように言った。


「何しに来た?今の俺に会ってどうすんだよ。何もできない」


「ふん、気になったのだよ。

渡しておいたあの魔晶をもってしても

左脚を失うとか考えられないからな」

とビルギットが言った。


「ん?魔晶?あの貰ったやつか。

あれは戦場で皇子に使ったぞ。

確かに回復していたな」

と事も無げに才籐は言った。


「そうかそうなのか。そう言うことだったのか。

納得いった。あの魔晶は最上級の身代わりに

なるものだからな。

そうか、おまえは自分より、皇子を救ったのだな」


「知るか。そもそもそんな高級な感じはしなかったし、

くっ、どうせあの場面で使わなければ、死んでいたしな」


メープルは後方で二人の会話を聞いていた。

タイミングの問題もあったが、

才籐が会話をしていることに驚いていた。

誰が話しかけてもどうも愚痴と呪詛しか

言わない才籐が無理はしているだろうが、

会話をしていた。


あららっ!才籐さん、仕方なし

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