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16.涎(稲生)

すみません、更新が遅れました。

出張、辛すぎー。

正社員さん、しっかりしてー

 翌朝、稲生は腹痛と頭痛に悩まされていた。

アルバンは、どうやら問題なさそうであったが、

稲生が馬に騎乗するのは無理そうであった。


「アルバン、すみません、もう一日、

宿泊して、体調を整えましょう」

とびっしょりと脂汗を掻いている稲生だった。


「わかりました、旅路の準備と

二日酔いに効く薬を探してまいります」

と言って、アルバンは宿を出た。


 稲生はアルバンの姿が見えなくなるのを

確認すると、リン向けに手紙を書き始めた。


 次の日からの旅でも二人の間には、

表面的に変わらぬ関係が続いていた。


「ここがバルザース帝国の帝都ですか。

随分と賑やかですね」

と稲生は、人で賑わう街を見て感想を述べた。


「それはそうですよ。

キリアの落ち着いた雰囲気と違いますから。

隣国も多く、ベルトゥル公国を経由して、

他国との往来も活発ですし。

成り上がるチャンスは、多いですから」

とアルバンが説明をした。


「そうですか。

宿を取り次第、まず、才籐さんの

挨拶へ伺います。

まっ彼は私にあまりいい印象を

抱いていないようですから、

少々、面倒な事になるかもしれません。

だから、今日はそのくらいで

宿に戻って休みましょう」

稲生は今日の予定をアルバンに説明をした。


 馬を引きながら、街を歩いていると、

突然、稲生が一点を見つめながら、

震えた声でアルバンに話しかけた。


「アルバン、あっあれは?」


 アルバンも稲生が見つめる方向に目をやり、

それを確認した。

そこには輝く銀髪に浅黒い肌をしたエルフが

立っていた。

 胸のボリュームを強調する服に

腰回りから下腹部の体線がはっきりと

わかるような短いスカート、そこから延びる脚。

そして、それらは健康的な美しさより、

男どもにとっては色気を感じる方が

勝っているようだった。


 そのエルフは男どもの目線を気にした風もなく、

街角に立っていた。


「稲生様、涎が垂れています。やばいっす。

あれはエルフの一種ですよ。

ダークエルフと呼ばれています。

恐らくバルザースのどこかの集落の出身では

ないでしょうか?」


「いや、しかし、それにしてもちょっとびっくりですよ。

あれほどの美しさは、ちょっとお目にかかれないと」

と稲生は目を離せずに言った。


「確かに美人ではありますが、

私にはどうもあの冷たい目が好きになれません」

とアルバンが感想を述べた。


「九之池さんなら、垂涎ものですよ。

ファンタジー映画に出てきそうな人ですね」

と稲生ががっちりと視線を固定しながら、

言った。


 アルバンはそんな稲生の発言に

あんたは実際に涎を垂らしているでしょうと

心の中で突っ込みを入れていた。


「アルバン、私はまだ、あまり他国の言葉を

上手く話せません」

と一旦、アルバンの瞳を真摯に見つめて、

稲生が言葉を切った。


アルバンは嫌な予感がして、

無言で稲生の視線を逸らした。


ヘロヘロが回復しないのだ

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