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15.お酒の本音(稲生)

旅路の途中

稲生とアルバンは、バルザースの帝都を目指し、

帝国領内の街道に沿って、馬を走らせていた。

盗賊や魔物も現れず、順調な旅路であると言えるだろう。


「アルバン、次の宿場町で

今日は休むことにしませんか?

旅程は計画よりかなり早いでしょうから」

と稲生が言うと、

「仰せのままに。次の宿場町で宿を

取ることにいたします」

とアルバンが応じた。


宿場町で宿を見つけ、夜の街に繰り出す二人。

「うーん、まあ、呑み屋しかありませんね。

アルバン、仕方ないですが、呑んで終わりにしましょう」

と稲生が残念そうに言いながら、店に入る。


「仮にあったとしましても、奥様に

止める様に強く言われていますので」

とアルバンは笑いながら応じた。


久しぶりの酒と旅の疲れからか、

二人は緊張がかなり解けたのだろう。

かなり呑んで話していると、稲生が突然、言った。


「アルバン、ドリアムさんは、元気かな?

それとレンは元気かな?」


すぅーとアルバンの酔いは冷めていくように

稲生には見えた。

そして、アルバンは、答えた。

「その方々は一体、どう言った方々で?

ご説明を頂ければ、お調べいたしますが?」


「ふむ、それも面白そうだね。

二人をアルバンが調べるのは!」

と稲生が応じた。

「まあ、答えなくてもいいよ。

それにしても色々と世話になった二人の行方くらいは

知りたいものだよ。

レンに関しては、リンには内緒にしておいてください。

結婚前のことだけど、家庭に波風は起こしたくないから」

と稲生が更に話を続けようとすると、アルバンは、話を遮った


「稲生様、あのですから、そういった方々のことを

私は知りませんので、お話しされてもわかりかねます」


「いいよいいよ。おっさんの愚痴に付き合うと思って、

聞いてくれれば、いいよ。

そうそう、彼等は、レズェエフ王国出身なんだろうな。

そこまでは調べがついているけど、

そこから先が中々、足取りが掴めなくて困っています。

今回の旅でその辺も調べられると助かるよ。

仕事にプライベートを持ち込むのはどうかと思うけどね」

と酔いの回っている稲生がへらへらと言った。


「はあ、ご協力はいたします」

気のない返事をするアルパンであったが、

酒の席での稲生の戯言に何故か、真綿で首を

絞めつけられる気分に囚われていた。


「うん、ありがとう。

君もレズェエフ王国出身だろうから、

その時は助けてもらうと助かるよ」


「いえ、このことは奥様も

ご承知なのでしょうか?」

とアルバンは内心の動揺を隠しつつ、尋ねた。


「僕に君たちの微妙なイントネーションの違いが

分かると思う?リンの発案だよ。リンの!

まったく妄想もいい加減にして欲しいよ。

そもそもドリアムさんは、魔獣と勇敢に戦って、

死亡しているんだからさ。

古戦場跡の石碑にもちゃんと名前があるんだよ。

それをまったく!

だから、僕が浮気するとか、しているとかの妄想に

取り憑かれるんだよ」

と稲生は愚痴をアルバンにこぼした。


アルバンは、酒の席での稲生の本音と判断し、

適当に稲生の話に合わせた。

「まあ、奥様が嫉妬深いのはいつものことですし、

稲生様が他の女性にお優し過ぎるのが、

誤解の原因ではないのでしょうか?

事実、レンという女性には妓楼でお会いしていたのでしょう」


「アルバン、君はそういうところが

抜けているというか、まあ、お調子者なところ

なんでしょうね」

とへらへらと笑いながら、稲生が答えた。

そして、

「さてと、久々に十分に呑みましたし、

今日はもう寝ましょう」

と言った。


稲生さん、お酒に弱いかも。

へらへらー

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