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3.変身(才籐)

変身は男のロマン

 レズェエフ軍の漆黒に纏われた男は、

血にまみれているせいか、漆黒というより、

赤黒くなり血の匂いを漂わせいた。


 豪雨のために視界が著しく遮られているにも

かかわらず、色と臭いのためか、戦場では一際、

目立っていた。


 豪雨によって生じた泥濘にバルザース帝国軍の

騎兵団は足を取られて苦戦を強いられていた。

半面、蜥蜴に騎乗するレズェエフ軍は、

優位に戦闘を進めいていた。


 そんな状況下において、皇子と近習を

中心とする一団が整然と最速・最短で漆黒の男に

向かっていた。


「ぐううぅ、どこだどこだどこだ。俺を満たせ満たせ」

口から涎を垂らし、新しい強者を探す漆黒の男。

その男の眉間がピクリとした。

そして、鋭い視線を飛ばし続けた。


 小雨となり始め、戦場の男たちが周囲を

見渡せるようになると、大地は死体で汚され、

汚泥が至る所に出来ていた。


 それらは等しくバルザース帝国軍、

レズェエフ王国軍の兵で満たされていた。


 そのような風景の中で漆黒の男の視線は

ある一点を見つめ続けていた。

 そして、その先には、灰色の馬に騎乗し、

灰色の武骨な鎧、この世界では珍しい灰色の片刃を

携えた男がいた。


「ふむ、どうやら、捉えたようですね。

みなさん、邪魔が入らないように周囲の敵を

お願いします」


「はっ!皇子、ご武運を」

と近習の者たちが言うと、散会した。


 負けることなど微塵も感じられない彼らの言葉に

気負いはなく、何気ない日常の会話のようだった。


 皇子は漆黒の男の前で片刃を構えた。

そして、一呼吸、次の瞬間、間合いが詰められ、

横なぎに片刃が走った。

 その片刃を漆黒の男は、手甲で受けた。

しかし、紙でも切るかのように片刃は手甲を切り裂き、

腕を切り落とした。


 それと同時に漆黒の男は「ぐぎゃやー」と叫んだ。

それは痛みのためか、それとも咆哮なのか皇子には

わからなかった。

 ただ、その刹那の瞬間に振るわれた漆黒の男の拳が

皇子の左肩の鎧を吹き飛ばし、左肩を粉砕していた。


 苦痛に顔を歪める皇子。

そして、脚で愛馬に指示をだし、すぐさま距離を取った。


 皇子は、幾つかの魔晶を左肩に充てながら砕いた。

すると、左肩の痛みが消え、動くようになっていた。


「プラチナ硬貨2枚の回復力ですか、

流石、ビルギットの工房ということですね」

呟き、両腕で片刃を構え、漆黒の男に改めて突撃した。


「あーあー、やっぱり出来損ないじゃ。

ここら辺が限界かー」

ぱたぱたと舞う妖精のような物が切られた腕を

持つ漆黒の男に近づき、如何なる魔術によるものか、

切り落とした腕を身体に接合した。


「馴染むまで時間がほんの少し時間が必要だから、

アレの相手は、他の屑に頑張って貰いましょう」

と妖精のもどきは、何かを唱え始めた。


 漆黒の男と似たような出で立ちの者たちが10人ほど、

わらわらと地面から湧き出してきた。

無表情、無言、素手で皇子に向かって突撃した。


 武器を持たずとも並みの兵士よりは遥かに

強いそれらであった。

しかし、皇子の一振りを避けずに

愚直に皇子の前に躍り出るそれらは、

無言で倒れ、その活動を停止した。


「まっ不良品だし、とりあえず、腕はついたから、

また、遊んであげてねー。

それときみのその武器と防具は反則だから、

少しこいつにも力をあげるよ。

その方が楽しいでしょ、君も」


 妖精もどきは、漆黒の男に向けて何かを唱えた。

妖精もどきの周りで魔晶の砕けると音がすると、

男の体が肥大化し、2.5mほどの大きさとなり、

騎乗していた蜥蜴を潰してしまった。


 装着していた武具、鎧ははじけ飛び、

体毛、髪の毛が抜け落ち、身体中の血管が

浮かび上がっていた。


才藤さんも変身の時かも。ってかどこにいるー

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