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66.紹介1

自己紹介はじまりはじまりー

 九之池たちは、稲生に庭のテーブルの

ある場所へ招かれた。

そこで待っていた人物は、一人が巨漢の男、

もう一人は均整とれた体型の神経質そうな男、

如何にも貴族という感じの小柄な男、

そして、紺のフードに覆われた人物であった。


「みなさん、今日は天気が良かったもので、

外にテーブルを準備してみました。

正式な面会というわけではありませんので、

本日は、どうぞリラックスしてお過ごしください。

席は、ご自由にどうぞ」

と稲生がにこやかに話した。


九之池はなるべく、目立たぬ場所に

座ろうと目論見、移動したが、

何故かエドゥアールに一番、

目立つ席に座らせられた。

隣に才籐、ルージェナが座っており、

とりあえずはホッとした九之池であった。


稲生が貴族風の男に何事かを

頼んでいると、大柄な男が

「稲生、茶じゃなく、酒を出せ。

後で呑むのも今、呑むのも同じだろう、

アルバン、酒だ」

と貴族風の男に伝えた。

稲生はため息をついて、アルバンへ

はちみつ酒を出すように伝えた。


「稲生さんよ、はちみつ酒は、例のあれか?

あれなら、俺もそれにしてくれ」

と才籐がぶっきらぼうに言った。


稲生は苦笑して、了解の旨を才籐に伝えた。

メープルの視線は誰が見ても分かるくらいに

稲生を追っていた。

時節、何故か黒いフードの人物の方を

睨み付けているが、九之池は見なかったことにした。


一通り飲み物が行き渡ると、稲生が

司会進行役なのか、話始めた。

「では、飲み物も行き渡りましたので、

軽く自己紹介でもいたしましょうか?」


九之池は心の中で余計なことを思い、

舌打ちをした。

隣の才籐は

「ちっ、稲生の奴、調子にのって、

なに仕切ってるんだりょ」

と凶悪な顔から、真っ青な顔になっていた。


才籐の隣に座るメープルが

にこやかに才籐を見ているが、

目が笑っていなかった。


どうやら、あの右手で

お尻のあたりをつねられたのだろう。


「稲生といいます。

召喚されて、此処にいます。

約6年ほどになります。

九之池さんにお会いできて、

嬉しく思います」


次に均整とれた体型の神経質そうな男

「シン・エイヤという。

この国で軍を指揮しているが、

本日は、興味あって参加させてもらう」


巨漢の男

「ゲルト・ワイルドだ。

兵を訓練している。

たまに軍を指揮するな。

今日は休みなので、来た」


紺のフードに覆われた人物

「ヤンデルフォン・リン。

この国で魔術を研究しています」


如何にも貴族という感じの男

「アルバンです。

家名はございません。

稲生様の執事をしております」


「えっ、女。

あの野暮ったいフード、女なんだあ。

まあ、魔女的な婆ぽいよな、才籐さん」

と九之池は才籐に話しかけ、

興味と驚きをもって、フードの人物を

ガン見した。

才籐は軽く頷き、尻を擦っていた。


九之池たちは彼らの挨拶を聞いても

誰も自己紹介を始めなかった。

毎度のことながら、沈黙に

耐えられなくなった九之池が口火を切った。


「稲生さん、なんでジャージ?

それにそこのフードの人って、暑くないの?

フードって帽子みたいなもんでしょ?

失礼じゃね」


九之池の指摘、もとい難癖を受けて、

稲生は、そのとおりですねと受け入れた。

黒いフードがピクリと動いたが、それだけだった。


「ジャージに関してはそうですね、

同じ出身ということの証明に

なるかと思いまして。

このジャージも購入してから8年になります。

ファッションショップ鈴木で購入した割には、

良くもってます」


「えっ、あのお店のですか、

じゃあ、そのジャージ、パチモノじゃん」

と九之池、げらげらと爆笑した。


「九之池さん、それはどういうことですか?

何かあのお店にあったんですか?」

と稲生が尋ねた。


「スーパーコピー品を扱っていたとかで、

確か倒産したよ。

でもスーパーコピー品のものが

品物としては良いものらしかったみたいです」

と九之池が説明した。


九之池は少し嬉しそうだった。

さっきから、イニシアティブを取って、

場の進行をしれっとしている稲生に若干、

不快に感じていたためであろう。


黒いフードの人物から、「くっくっっ」

と押し殺したような笑いがなぜか聞こえてきた。


くの、場の雰囲気が読めない人

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