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63.九之池、思考する

考える人

 九之池とルージェナの二人になると、

ルージェナが温かい飲み物を用意してくれた。


「九之池さんのいた世界のことを

たまに話してくれますが、

魔術のない世界なのに本当に便利な世界ですね。

一度でいいから、一緒に見てみたいですね」

と言い、ルージェナは微笑んだ。


「ルージェナにも一度は、見てほしいな。

結構、観光地とか沢山あるし、温泉もいいよね」

と九之池は興奮気味に話した。


「九之池さんのよく言う温泉って、

本当に楽しそうですよね」


「はっ、そうか!そうだ、温泉だ。

温泉を探して、商売にしよう。

それにそう言えば、水をくみ上げる

人力のポンプもみたことないな。

魔術があるから、さほど、科学が

発展していないのかも。

水車や風車もいいかもしれない。

そうなると、ベアリングとかギア

もいいかもしれない。

稲生さんはどんな視点から、研究しているのかな」

と頭を悩ませる九之池だった。


「九之池さん、今、呟いていたものは、

魔術で代用するより、効率は良くなるのですか?」

とルージェナが尋ねた。


「さあ、そもそもあまり魔術に詳しくないし、

その辺りも稲生さんに尋ねてみよう。

ただなぁ、懸架装置を開発するくらいの人物が

この辺りの開発をしていないのが謎なんだよなぁ。

老公って、一体、何を目的にしてたのかな」

ぶつぶつとルージェナに話しかけているのか

独り言なのか、良くわからない話し方をしていた。


「老公ですか、あまりにも多岐に渡る研究や発明で

彼の専門って良く分からないらしいですよ。

どの分野でも高い専門性があって、

各分野でのスペシャリストであって、

なおかつ幅がひろいため、ゼネラリストでも

あったと言われていますよね」


「まあ、老公はいいや。

それより、稲生さんには、

温泉郷開発プロジェクトについて、

意見を訊いてみよう。

それと時間があれば、くみ上げポンプとか、

そっち方面の話をついでに

聞くことにしよう」

と九之池は、決めた。


「温泉郷開発プロジェクトって、

大きく出ましたね!

ある程度、体裁は保てそうな感じですが、

実際に可能そうなものはどれになるんですか?」

得意げに語る九之池にルージェナは水を差した。


九之池は、若干、不快な表情をしたが、

直ぐに説明を始めた。

「資金さえあれば、どれも可能さ。

ベルトゥル公国に戻ったら、シリア卿から、

資金を拠出して貰えるように上手く話すよ。

もちろん、温プロが最優先だけどね」

と九之池の思考は、既に温泉に捉えられて、

他はおまけ程度になっていた。

そんな九之池の思考の暴走に危機感を

感じたのかルージェナが

「念のため、くみ上げ式ポンプについても

聞きましょう。

手土産一つですと、大公に献上したら、

シリア卿には何もありませんよ」

と言った。


シリア卿から受けた魔術を思い出し、

九之池は、得意の絶頂から、一転、真っ青な顔で、

「そっそうだね、シリア卿が

気に入りそうな技術を持ち帰らないとね」

と震える声で言った。


薬が効きすぎたと思ったのか、ルージェナは、

「九之池さん、大公が満足すれば、

シリア卿も納得しますよ。

心配することはありません」

と慌てて、言った。


「そっそうかな、あの男は結構、

そういうの気にしそうだけど、

ヘーグマンさんに相談した方が良さそうかな」

と震えの止まらぬ声で言った。


考えても案が無い時はないのだ!

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